排水管の洗浄方法

排水管の洗浄方法、各排水系統の汚れ方の違いについてまとめました。  
〇過去問
・管理業務主任者 
・マンション管理士 
 
 
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排水管の洗浄方法の概要
1)機械的洗浄方法
 
①高圧洗浄法
・高圧洗浄機または高圧洗浄車からホースで導水し、ホースの先端に取り付けられたノズルから噴射する高速噴流により、管内付着・堆積物等を除去する方法。
・噴射孔の角度により、前方噴射、後方噴射、横噴射の各タイプおよびそれらの組み合わせが採用されている。
 
〇後方噴射タイプ
・洗浄とともに自走機能がある。
・排水管内の高圧水は、先端ノズルの斜め後方に噴射され(逆噴射)、その反動力で管内の堆積物や付着物を除去しながら前進(自走)していく。
・注意点としてノズルの外れ防止、ホースの接続確認、歩行者足元注意、ホースの老朽化による高圧水噴射などの事故・トラブルがある。
 
②ワイヤ式清掃法
・スクリュー形、ブラシ形等のヘッドが先端に取り付けられたワイヤを排水管内に回転させながら挿入し、押し引きを繰り返しながら、管内停滞・付着物等を除去する方法。
・ワイヤは、配管の曲がりに対応できるように、フレキシブルな螺旋構造となっている。
・油分などの固い付着物の除去に有効。 ・高圧洗浄に比べると洗浄効果は劣る。
・塩化ビニール管に適用すると、その曲り部分が削られる危険性がある。
 
③ロッド法
・1.0~1.8m程度のロッド(長い棒)を繋ぎ合せて、手動で排水管内に挿入する方法。
・通常は、手動で行うが、電動式もある。
・この方法は敷地排水管や雨水敷地排水管に適用され、排水桝から挿入して作業する。
・ロッドの最大繋ぎ長さは30m程度。
 
④空圧式清掃法(ウォーターラム法)
・圧縮空気を放出してその衝撃で付着物を除去する。
・閉塞した排水管内に水を送り込み、空気ポンプを用いて圧搾空気を管内に一気に放出し、その衝撃波により閉塞物を破壊・離脱させて除去する。その空気圧力は0.2~0.32Mpa程度で使用され最大空気圧力は1.0Mpa程度である。
・注意点としては、配管が繋がっている他の排水口を必ず密閉する必要があり、万一わからないところに開口部があった場合には、逆流し噴出する恐れがある。
・年数を経た古い設備では、配管が脆くなっている場合が多く、衝撃波により、配管が外れたり、破損することがある。
・高圧洗浄機やワイヤー、ロッド類が使用できない場所の清掃に使用できる。
 
2)化学的洗浄方法
 
・機械的洗浄方法が適用しにくい場合など、非常手段的や補助的に用いられる。
・使用される洗浄剤は、アルカリ性剤と酸性剤に大別される。
・機械式洗浄法の非常手段として用いられる理由は、排水管が金属管であれば、いずれの洗浄剤においても腐食が生じるため。
・不注意に取り扱うと作業者の安全性に関わり、また、下水道の終末処理場や浄化槽の機能をそこなう恐れもあるので注意が必要。
 
〇アルカリ性洗浄剤
・苛性ソーダまたは苛性カリを主剤とし、台所・洗面所・浴室床排水等の排水横枝管に適用される。
・洗浄方法は、器具の排水管内にフレーク状(薄い片)の洗浄剤を投入し、続いて温水を流入すると、洗浄剤が発熱して高温の苛性液となり、有機性の閉塞物・付着物等を溶解させる。
 
〇酸性洗浄剤
・硫酸、塩酸、スルファミン酸等、小便器の器具排水管や排水横枝管における尿固形物の除去に適用される。
排水立て管の洗浄
1)共用部の掃除口等から挿入
 
〇屋上伸頂通気口より挿入して排水立て管を洗浄
・前方噴射ノズル
・伸長通気管などから下部までホースを挿入して下方から引上げながら洗浄する方式
〇排水立て管の掃除口より挿入して排水立て管を洗浄
〇排水横主管(及び各横引管)掃除口より挿入して排水立て管を洗浄
・後方噴射ノズルで下階から上階へ
〇排水桝より挿入して排水立て管を洗浄
・後方噴射ノズルで下階から上階へ
 
2)専有部からのオーバラップ洗浄
 
●オーバラップ洗浄とは
・専用部排水トラップよりノズルを入れ、排水立て管2~3層下の階まで洗浄する方法。
 
●オーバーラップ洗浄法が採用される理由
・屋上や最上階、または共用部分に現実的に清掃可能な掃除口が少ない建物が多い為、オーバーラップ洗浄法が主流となっている。
・屋上に通気管が有っても、数本の立て管に対して1本である場合や、屋上ではなく壁面に掃除口がある等、様々な理由により分離して洗浄が叶わないことが多い。
各排水系統の汚れ状況と清掃頻度
1)各排水系統の汚れ状況
 
●台所系の排水管
〇腐食
・高経年マンションで使用されている配管用炭素鋼管などの配管材料の場合は腐食が生じる。
〇スライム
・洗剤、油脂類、野菜くずなどが管内面に付着してスライム状に。
→管がやせて排水の流れが悪くなる。
 
〇そばやうどんの茹で汁
・そばやうどんを茹で上げたあとのざる越しに捨てた茹で汁は、何度も続けると配管の熱伸縮により継手部が損傷し、漏水の原因となることがある。
 
●浴室系、洗面系、洗濯系の排水管
・台所系に比べれば腐食は少ない。
・石鹸、身体から出る脂、髪の毛、糸くずなどが、排水トラップ器具部や配管内部に付着し、管詰まりによって漏水することがある。
 
●汚水系の排水管
・腐食は少ない。
・排水口径が他の排水管より太いため、詰まりも少ない。
→故意や不注意で異物を流さなければ排水管洗浄を行わなくても良いと言われている。
・高経年マンションでは尿石などの付着による詰まりが起こることがある。
 
2)排水管清掃の周期の目安
 
●清掃周期
〇清掃周期:1~2年
・台所系統単独の排水管
・合流式の排水管
 
〇清掃周期:2~3年
・浴室系統単独の排水管
・洗面・洗濯の排水管
・浴室・洗面・洗濯の排水管
・台所・浴室・洗面・洗濯の排水管
 
●配管材料を考慮した対応
〇樹脂ライニング更生工法を施した排水管
・上記と同様。
〇長年使用した配管用炭素鋼鋼管、鋳鉄管
・スライム等も付着しやすく、腐食による劣化等も考えられるので、事前の調査・診断などを行って清掃方法や清掃周期を決めるようにする。
 
●ディスポーザを使用している台所排水管
・管内の汚れや厨芥物の堆積より、上記清掃周期より短くすることが望ましい場合もある。

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