機械式駐車設備の種類とその特徴、維持管理

〇過去問
・管理業務主任者 
・マンション管理士 
 
 
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械式駐車場の種類とその特徴
1)自走式駐車場
 
・普通自動車1台当たりの利用面積は2.5m×5.0m必要。(幅2.3m×奥行5.0m程度)
・平面式と立体式がある。
 
〇立体自走式
・駐車場の床を多層化するもので、駐車区画まで車が自走して出入りする駐車場。
・建築基準法上、「建築物」とは、土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するものをいい、立体自走式の駐車場は、これに該当する。
 
2)昇降式駐車場
 
・地下にピットを造り、パレットが上下に昇降する装置。
・2段式、3段式等がある。
・パレットが上下左右に可動する昇降横行式もある。
 
①ピット昇降式(単純上下型)
・マンションによく設置されている2段式、3段式になっている上下にのみ動く駐車場。
・鍵とボタンにて操作
〇メリット
・上下に動かすだけなので操作が簡単。
・呼び出し時間があまりかからない。
〇デメリット
・ほとんどの場合でバック入庫になる点。
 
②昇降横行式(パズル型)
・マンションでよく見かける2段以上になっている上下左右に動く駐車場。
・鍵とボタンにて操作。
〇メリット
・入庫後車室を手動で元に戻す操作はしなくて良いという点。
〇デメリット
・ピット式と同じくバック入庫になる点。
 
3)タワー式駐車場
 
・建物内に設置することも可能だが、別棟として建設することが多い。
・大規模なので、収容台数も多くなる。
 
○ターンテーブル
・タワー型の駐車場などの入り口の丸い円盤のようなものが内蔵ターンテーブル式の駐車場。
・ターンテーブルは駐車場から出てくる車の向きを変えるため。
・入出庫を楽にするための設備で、主に外付けタイプと内臓タイプがある。
 
○カード承認パネル
・ビルインタイプの駐車場の設備。
・駐車場の入庫、出庫の際にカードをかざすことで車を呼び出す装置。
・カード承認タイプのメリットは操作が簡単なところ。入出庫の記録がカードにされているので、機械操作がほとんどないのが良い点。
 
○暗証番号式パネル
・ビルインタイプの駐車場の設備。
・車を暗証番号の入力で呼び出すのに使用。
・メリットはカード承認タイプと同じく操作が容易な点と、暗証番号のみで操作する場合、鍵などを持たなくて済む点。
機械式駐車装置の種類
1)垂直循環方式
 
・自動車を駐車させる複数の機器を、垂直面内に円形または長円形に配置して、連続循環させる方式。
・特殊なアタッチメントをもつ大型エンドレスチェーンに機器を吊り下げて循環移動させ、機器に設けたガイドローラとガイドレールによって循環移動する時に発生する機器の横揺れを防いでいる。
 
〇下部乗入式、中間乗入式、上部乗入式
・中間乗入式と上部乗入式は地下部分の有効活用を考慮した方式。
〇縦列型、横列型
 
2)多層循環方式
 
●循環方式による分類
〇円形循環式
・連続的に循環するため、入出庫処理の時間が短く、円滑性を重視する用途に適する。
〇箱型循環式
・円滑性は多少犠牲にしても空間の利用効率を重視したい場合に適する。
 
●乗込方式による分類
〇直接乗込式
〇昇降装置付属式
・最近では主流になっている。
・昇降装置を駐車装置の端部に設けるのが普通だが、昇降装置を中間に設ける型式もあり、また最近では方向転換装置を内蔵したものも実用化されている。
 
3)水平循環方式
 
・垂直循環方式の上部乗入式が専ら地下を垂直に活用するだけであったのを、一歩進めてビルの地下部分を水平方向に利用するようにしたもので、車路を省いて収容台数を増やし、駐車場用途面積を節約する意図で開発された。
・この方式は、水平面内に多数の搬器を2列以上配置して循環移動する方式で、循環の形状によって円形循環式と箱型循環式に分類される。
・この方式は、専ら地下駐車場として利用されることが多く、実際に設置されているもののほとんどが箱型循環式であり、昇降装置を組み合わせて、地上階で車を乗り捨てる型式。
・この方式では、1層だけでなく2層以上の多層重ねも可能で、4層程度まで実用化されている。
 
4)エレベータ方式
 
・自動車を格納する駐車室と、自動車昇降装置を組み合わせて立体的に駐車する方式。
・駐車室を昇降装置の前後方向に設ける縦式、左右方向に設ける横式、放射状に設ける旋回式の3タイプがある。
・昇降装置から駐車室への移動は、搬送装置による。
・自動搬送する装置には、スライドフォーク、くし型フォーク、コンベア、ドーリーなどがある。
 
5)エレベータ・スライド方式
 
・機構的にはエレベータ方式の昇降装置に走行機能を付加したもので、基本的にはスタッカークレーンを使った自動倉庫と同じ機能をもっている。
・エレベータ方式と同じく、駐車室を昇降装置の前後方向に設ける縦式、左右方向に設ける横式の2つのタイプが実用化されている。
・昇降装置から駐車室への移動は、車の自走による型式と、自動車搬送装置による型式があるが、後者のほうが主流になっている。
 
6)平面往復方式
 
・平面的に自動車を格納する方式で、元来は自走では入庫できないスペースに、入庫の障害になる手前の自動車を横に移動させながら、搬送したり、多重に駐車させるための装置。
・平面駐車場の駐車効率向上の補助手段として有効な新しい機械式駐車装置。
 
7)二段方式・多段方式
 
・駐車している自動車の上または下にもう一台の自動車を駐車させて駐車効率を高める方式。
・自動車を昇降させる機構にはロープ式、チェーン式、油圧式などがある。
 
〇二段方式
・昇降装置だけを備えた昇降式と任意の自動車を入出庫させるために下段の搬器を左右に横行移動させる機能をもった横行昇降式がある。
 また、昇降式の変型として地下部分に1台を収容するピット式もあり、上下のスペースを個別に使用する集合住宅などに採用されている。
 
〇多段方式
・二段方式の横行昇降式を拡大応用したのが3段式・4段式などの多段方式。
・地上部分だけを利用するものから、ピット利用のものまで各種があり、最近では前後に多重駐車させる縦列式も実用化されている。
機械式駐車設備の維持管理指針の概要
※平成30年国土交通省”機械式駐車設備の適切な維持管理に関する指針”
 
1)機械式駐車設備の維持管理に係る課題
 
○保守点検業者の選定
・適切な知識や技術力を持った保守点検業者をどのように選定すれば良いか?
〇点検仕様等の契約内容
・保守点検の業務内容や責任範囲について、どのように契約上、明確化するか?
・契約書に点検内容・点検周期をどう記載すれば良いか?
〇不具合情報の点検業者への連携
・不具合情報等を把握し、確実に保守点検業者へ引き継ぐための仕組みはどうすべきか?
〇管理者による保守点検業者の業務内容チェック
・専門的な知識を有していない、ビルオーナーや管理組合といった管理者が、保守点検事業者が行う点検内容・点検周期が適切かどうかの確認
〇法令順守
・駐車場法施行令に定める技術的基準に適合させる必要
 
2)機械式駐車設備の適切な維持管理に関する指針
 
・機械式駐車設備の安全性の確保する観点から、適切な維持管理に関する指針を策定
 
●管理者等、設置者、保守点検業者及び製造業者の役割
・管理者等:適切な維持管理、適切な保守点検業者の選定
・設置者:管理者への適切な情報提供等
・保守点検業者:適切な保守・点検の実施、点検結果の報告・アドバイス等
・製造業者:部品の供給、維持管理に関する問い合わせに対応する体制整備等
 
●機械式駐車設備の適切な維持管理のためになすべき事項
・定期的な保守・点検の実施
・作業報告書等の文書の保存
・安全標識等による利用者への注意喚起等
 
●保守点検事業者の選定に当たって留意すべき事項
・契約金額だけでなく、担当者の能力、会社概要等を総合的に評価
 
●機械式駐車設備標準保守点検項目、点検周期の目安
・管理者等が、保守点検事業者が行う点検内容・点検周期を確認する際や契約書に点検内容・点検周期を記載する際に参考とするための具体的なツール
〇標準保守点検項目
・機械式駐車装置の類型に応じた標準的な点検項目(安全装置、乗降領域等)の一覧
〇点検周期の目安
・機械式駐車装置の類型に応じた標準的な点検項目ごとの点検頻度の目安の一覧

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