消防用設備等 共同住宅用自動火災報知設備

〇消防法:
〇消防法施行令:29条の4
〇消防法施行規則:
〇過去問
・管理業務主任者 H30問23
・マンション管理士 
 
 
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共同住宅用自動火災報知設備の概要
1)共同住宅用自動火災報知設備とは
 
・火災時に火災の拡大を初期に抑制し、かつ、安全に避難することを支援するために、特定共同住宅等における火災の発生を感知し、及び当該特定共同住宅等に火災の発生を報知する設備であって、受信機、感知器、戸外表示器(住戸等の外部において、受信機から火災が発生した旨の信号を受信し、火災の発生を報知するものをいう)等で構成され、かつ、自動試験機能or遠隔試験機能を有することにより、住戸の自動試験機能等対応型感知器の機能の異常が当該住戸の外部から容易に確認できるものをいう。
 
2)構成要素
 
●受信機
〇共同住宅用受信機
・住戸、共用室or管理人室に設ける感知器から発せられた火災が発生した旨の信号を受信した場合に、火災の発生を当該住戸、共用室及び管理人室の関係者に報知するものをいう。
 
〇住棟受信機
・住戸、共用室及び管理人室以外の部分に設ける感知器又は共同住宅用受信機から発せられた火災信号を受信した場合に、火災の発生を特定共同住宅等の関係者に報知するものをいう。
 
●音声警報装置
・共同住宅用受信機or住棟受信機から発せられた火災信号を受信し、音声により火災の発生を報知するものをいう。
 
●補助音響装置
・住戸、共用室or管理人室にいる者に対し、有効に音声警報を伝達するために、共同住宅用受信機から発せられた火災信号を受信し、補助的に音声警報を発する装置をいう。
 
●戸外表示器
・住戸等の外部において、共同住宅用受信機から発せられた火災信号を受信し、火災の発生を報知するものをいう。
感知器の設置基準
●感知器
・火災により生ずる熱、煙、炎を利用して自動的に火災の発生を感知し、火災信号or火災情報信号を受信機or中継器or消火設備等に発信するものをいう。
 
●各設置場所と感知器の種類
 
イ)階段及び傾斜路
・煙感知器
 
ロ)廊下及び通路
・差動式及び補償式スポット型感知器のうち一種or二種、
・定温式スポット型感知器のうち特種(公称作動温度60℃又は65℃のものに限る)
・煙感知器
 
※差動式スポット型感知器
・周囲の温度の上昇率が一定の率以上になつたときに火災信号を発信するもので、一局所の熱効果により作動するものをいう。
※補償式スポット型感知器
・差動式スポット型感知器の性能及び定温式スポット型感知器の性能を併せもつもので、一の火災信号を発信するものをいう。
 
ハ)エレベーターの昇降路、リネンシュート、パイプダクトその他これらに類するもの
・煙感知器
 
ニ)感知器を設置する区域の天井等の高さが15m~20mの場所
・煙感知器or炎感知器
 
ホ)感知器を設置する区域の天井等の高さが20m以上の場所
・炎感知器
 
ヘ)住戸
・自動試験機能等対応型感知器であって、差動式及び補償式スポット型感知器のうち一種or二種、定温式スポット型感知器のうち特種or煙感知器
 
※自動試験機能等対応型感知器
・自動試験機能(火災報知設備に係る機能が適正に維持されていることを、自動的に確認することができる装置による火災報知設備に係る試験機能をいう)又は遠隔試験機能(感知器に係る機能が適正に維持されていることを、当該感知器の設置場所から離れた位置において確認することができる装置による試験機能をいう)に対応する機能を有する感知器をいう。
 
ト)共用室及び管理人室
・差動式及び補償式スポット型感知器のうち一種or二種
・定温式スポット型感知器のうち特種
・煙感知器
 
チ)イからトまでに掲げる場所以外の場所
・その使用場所に適応する感知器
 
●感知器の設置
 
〇熱感知器 ・共用部分の廊下及び通路にあっては、歩行距離15mにつき1個以上の個数を、火災を有効に感知するように設けること。
〇煙感知器 ・共用部分の廊下及び通路にあっては歩行距離30m(三種の感知器にあっては20m)につき1個以上の個数を、階段及び傾斜路にあっては6以上の階にわたらない部分ごとに1個以上の個数を、火災を有効に感知するように設けること。
 
●受信機との接続
 
・住戸、共用室及び管理人室に設ける感知器にあっては共同住宅用受信機に、その他の部分に設ける感知器にあっては住棟受信機に接続すること。
・ただし、管理人室に設ける感知器にあっては、当該管理人室内に住棟受信機を設ける場合に限り、共同住宅用受信機を介さずに当該住棟受信機に接続することができる。
受信機の設置基準
●共同住宅用受信機
・住戸、共用室及び管理人室(住棟受信機を設ける管理人室を除く)に設けること。
・住戸、共用室or管理人室で床面積が150m2を超えるものに設けないこと。
・住戸、共用室及び管理人室に設けられた共同住宅用受信機にあっては、感知器から発せられた火災信号を受信した場合に、当該信号を住棟受信機及び戸外表示器に発信する機能を有すること。
・感知器が作動した旨の警報(感知器作動警報)を停止できる機能を設けること。
・火災が発生した旨の警報(火災警報)を停止できる機能を設けることができること。
 
●住棟受信機
・共同住宅用受信機から発せられた火災信号を受信した場合に、当該共同住宅用受信機の警戒区域の火災表示を行うこと。
・防災センター等がない場合は、管理人室に設けること。ただし、当該管理人室に常時人がいない場合は、火災表示を容易に確認できる場所に設けることができる。
・特定共同住宅等の棟ごとに設けること。ただし、同一敷地内に特定共同住宅等が2以上ある場合で、当該特定共同住宅等の火災発生時に、円滑な対応ができる場合はこの限りでない。
※警戒区域
・火災が発生した区域を他の区域と区別して識別することができる最小単位の区域をいう。
音声警報装置の設置基準
〇音声警報装置を住戸、共用室及び管理人室に設ける場合
・当該住戸、共用室or管理人室ごとに、音声警報装置を1個以上設けること。ただし、有効に音声警報が伝わらないおそれのある部分については、当該部分に音声警報を有効に伝達することができるように補助音響装置を設けることとする。
・音声警報装置の音圧は、取り付けられた音声警報装置から1m離れた位置で70dB以上であること。
戸外表示器の概要、設置基準
1)戸外表示器の概要
 
●戸外表示器とは?
・住戸等の外部において、共同住宅用受信機or住戸用受信機から発せられた火災信号を受信し、火災の発生を報知するものをいう。
 
●製品例
①ドアホン(戸外表示機)遠隔試験機能付中継器内臓
〇インターホン機能
・住宅情報盤と通話できる。
〇セキュリティ機能
・住戸内の火災警報、ガス漏れ警報、非常警報などを、内臓のスピーカーで住戸外へ警報。
〇遠隔試験機能
・住戸内に入らなくてもドアホン(遠隔試験機能付中継器内蔵)に外部試験器を接続し、住戸内の感知器試験や戸外表示器の火災表示及び警報確認が可能となる。
※住戸内感知器の戸外点検
・6ヶ月に1回、消防設備士等の有資格者が行う法定点検が義務付けられていて、この点検は事前に住人へ通知した上で,住戸内に立ち入り感知器を直接炙り,正常に作動するかチェックを行う。
・しかし、プライベート空間であることや,点検時における住戸内不在が目立ち始め法定点検の実施状況が悪化する状況となっている。
→住戸内に立ち入ることなく,住戸内の感知器を戸外から点検する遠隔試験機能が認められ,住戸の外に設置されたドアホン(遠隔試験機能付中継器)に外部試験器を接続し作動点検が行える擬似発報方式が法令上認められたことから,法定点検の実施状況の改善ができ,感知器性能の品質維持が可能となった。
 
②集合インターホンと一体化したシステム
・コンパクトになった管理人室にマッチし,共同住宅用自動火災報知設備の幹線と集合インターホンの幹線を統合した上,様々な防犯機能を付加させたもの。
 
2)戸外表示器の設置基準
 
・戸外表示器は、次のイからハまでに適合する場所に設ける。
イ)住戸、共用室及び管理人室の主たる出入口の外部であって、作動表示灯が当該住戸、共用室及び管理人室が面する共用部分から容易に確認できる場所
ロ)点検に便利な場所
ハ)雨水のかかるおそれの少ない場所
 
3)戸外表示器の基準
※平成18年消防庁告示第20号”戸外表示器の基準を定める件”
 
●警報機能
・共同住宅用受信機or住戸用受信機から発せられた火災が発生した旨の信号を受信したときに遅滞なく警報を発すること。
 
●作業表示灯、通電表示灯
・共同住宅用受信機or住戸用受信機から発せられた火災が発生した旨の信号を受信した場合に直ちに赤色の灯火を点滅させること。
・作動表示灯は、周囲の明るさが300ルクスの状態において、前方3m離れた地点で点滅していることが明確に識別することができること。
・共同住宅用受信機or住戸用受信機が通電状態にあることを容易に確認できる通電表示灯を有すること。

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