消防用設備等 消火設備

〇消防法:
〇消防法施行令:10~20条
〇消防法施行規則:5条の2~22条
〇過去問
・管理業務主任者 H26問20
・マンション管理士 H16問25、H21問23、H23問23、H25問23、H26問45、H28問23、R1問23
 
 
※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
消火設備の種類
・水その他消火剤を使用して消火を行う機械器具又は設備。
 
1)消火器及び次に掲げる簡易消火用具(消火器具)
 
・水バケツ、水槽、乾燥砂、膨張ひる石又は膨張真珠岩
→令10条
→規則5条の2~11条
→昭和39年自治省令第27号”消火器の技術上の規格を定める省令”
→昭和39年自治省令28号”消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令”
 
②屋内消火栓設備
→令11条
→規則11条の2、12条、13条の6第4項
→平成25年消防庁告示第2号”屋内消火栓設備の屋内消火栓等の基準”
→平成9年消防庁告示第8号”加圧送水装置の基準”
 
③スプリンクラー設備
→令12条
→規則12条の2,12条の3,13,14,15条
→昭和40年自治省令2号”閉鎖型スプリンクラーヘッドの技術上の規格を定める省令”
→平成8年消防庁告示6号”放水型ヘッド等を用いるスプリンクラー設備の設置及び維持に関する技術上の基準の細目”(床面から10m超高さの部分に設置)
→平成13年消防庁告示37号”スプリンクラー設備等の送水口の基準”
 
④水噴霧消火設備
→令13,14条
→規則16,17条
 
⑤泡消火設備
→令13,15条
→規則18条
→昭和50年自治省令26号”泡消火薬剤の技術上の規格を定める省令”
 
⑥不活性ガス消火設備
→令13,16条
→規則19条
 
⑦ハロゲン化物消火設備
→令13,17条
→規則20条
 
⑧粉末消火設備
→令13,18条
→規則21条
 
⑨屋外消火栓設備
→令19条
・共同住宅においては、床面積が、耐火建築物にあっては9,000㎡以上、準耐火建築物にあっては6,000㎡以上、その他の建築物にあっては3,000㎡以上のものについて設置するものとされている
→規則22条
 
⑩動力消防ポンプ設備
→令20条
→昭和61年自治省令24号”動力消防ポンプの技術上の規格を定める省令”
消火器具の概要
1)消火器具の概要
 
●消火器具とは?
・消火器及び次に掲げる簡易消火用具
・水バケツ、水槽、乾燥砂、膨張ひる石or膨張真珠岩
 
●設置対象の共同住宅、階
〇一般
・延べ面積150㎡以上
〇地階・無窓階or3階以上の階
・床面積:50㎡以上
 
2)消火器の概要
 
●消火器とは?
・水その他消火剤を圧力により放射して消火を行う器具で人が操作するもの。
・収納容器(ノズル、ホース、安全栓等を有する容器であつて、消火剤が充填された本体容器及びこれに附属するキャップ、バルブ、指示圧力計等を収納するものをいう)に結合させることにより人が操作するものを含む。
・固定した状態で使用するもの及び令41条5号に規定するエアゾール式簡易消火具は除く。
 
〇交換式消火器
・本体容器及びこれに附属するキャップ、バルブ、指示圧力計等を一体として交換できる消火器。
・収納容器に結合させることにより人が操作して消火を行うもの。
 
●設置個数(規則6条1項)
・能力単位の数値の合計数Fが、当該防火対象物orその部分の延べ面積or床面積Sを定められた面積値FS(共同住宅の場合は100㎡、耐火構造200㎡)で除して得た数以上の数値となるように設けなければならない。
F => S/FS
 F:消火器具の能力単位の数値の合計(消火器本体に表示されている)
 S:消火器具を設置する防火対象物orその部分の階ごとの延べ面積or床面積(㎡)
 FS:共同住宅の場合は100㎡、但し耐火構造は200㎡
 
●消火器の配置場所(規則6条6項)
・共同住宅の各部分から、一の消火器具に至る歩行距離が20m以下となるように配置しなければならない。
 
●消火器具に関する基準の細目(施行規則9条)
・消火器具は、床面からの高さが1.5m以下の箇所に設けること。
・消火器には、地震による震動等による転倒を防止するための適当な措置を講じること。ただし、粉末消火器その他転倒により消火剤が漏出するおそれのない消火器にあつては、この限りでない。
・消火器具を設置した箇所には、消火器にあつては「消火器」と、水バケツにあつては「消火バケツ」と、水槽にあつては「消火水槽」と、乾燥砂にあつては「消火砂」と、膨張ひる石or膨張真珠岩にあつては「消火ひる石」と表示した標識を見やすい位置に設けること。
 
3)消火器の種類
 
●住宅用消火器と業務用消火器(住宅用消火器以外の消火器)
〇業務用消火器(住宅用消火器以外の消火器)
・消防法令等により設置義務がある防火対象物等に設置される消火器
 
〇住宅用消火器
・消火器のうち、住宅における使用に限り適した構造及び性能を有するものをいう。
・設置義務のない一般住宅等に設置される消火器
・蓄圧式。消火剤を再充填できない構造
・消火器の外面の色は、一般的に赤色だが、住宅用消火器では赤色以外もある。
 
●加圧方式による分類
〇加圧式の消火器
・加圧用ガス容器の作動、化学反応or手動ポンプの操作により生ずる圧力により消火剤を放射するもの。
・消火器の容器内に高圧ガス(炭酸ガスor窒素)を充てんした加圧用ガス容器が取り付けられており、レバーを握ることによって切り矢(カッター)で加圧用ガス容器の封板を破ることにより、ガスをガス導入管を通じて容器内に放出させ、その圧力を利用して消火剤を撹拌し、サイホン管、ホース、ノズルを通じて放射する。
 
〇蓄圧式の消火器
・あらかじめ容器内に圧縮された空気、窒素ガス等を入れておき、その圧力により消火剤を放射するもの。
・この消火器には、容器内の圧力が常に適正に保たれているかどうかを確認するための指示圧力計が取り付けられている。
 
●充填する消火薬剤による分類
〇水消火器
・水(浸潤剤等を混和or添加したものを含む)を圧力により放射して消火を行う消火器。
 
〇酸アルカリ消火器
・酸アルカリ消火薬剤(浸潤剤等を混和or添加したものを含む)を圧力により放射して消火を行う消火器。
 
〇強化液消火器
・強化液消火薬剤(浸潤剤等を混和or添加したものを含む)を圧力により放射して消火を行う消火器。
・消火に適したアルカリ金属類の水溶液が入っている。
・加圧式と蓄圧式の2種類がある。
・容器は、鉄製がほとんどだが、ステンレス鋼製やアルミニウム製もあり、鉄製とアルミニウム製のものについては、内外面に耐食塗装が施されている。
 
〇泡消火器
・泡消火薬剤(浸潤剤等を混和or添加したものを含む)を圧力により放射して消火を行う消火器。
・化学式と機械式がある。
・容器は、いずれも鉄製で、内外面に耐食塗装が施されている。
 
〇ハロゲン化物消火器
・ハロゲン化物消火薬剤を圧力により放射して消火を行う消火器。
 
〇二酸化炭素消火器
・液化二酸化炭素を圧力により放射して消火を行う消火器。
・容器は、高圧ガスである二酸化炭素が充てんされているため、緑色で塗装されている。
 
〇粉末消火器
・粉末消火薬剤(浸潤剤等を混和or添加したものを含む)を圧力により放射して消火を行う消火器。
・消火に適した防湿加工がされた微細な粉末が入っている。
・容器は、大部分が鉄製だが、ステンレス鋼製やアルミニウム製のものもある。鉄製の容器には、内外面に耐食塗装が施されている。
・適応火災により、粉末(ABC)消火器or粉末(BC)消火器があり、加圧式と蓄圧式がある。
※粉末(ABC)消火器は、普通火災(A火災用)、油火災(B火災用)、電気火災(C火災用)に対応している。
屋内消火栓設備の概要
1)概要
 
・主に初期消火活動を居住者が操作することによって火災を消火する設備であり、地下ピット等の水源、加圧送水装置(消火ポンプ)、起動装置、屋内消火栓(開閉弁、ホース、ノズル等)、配管・弁類及び非常電源等から構成されている。
 
●種類
・屋内消火栓の種類には、放水圧力、放水量及び操作性によって、1号消火栓、易操作性1号消火栓、2号消火栓に区分され、設置する防火対象物及び水平距離が定められている。
 
①1号消火栓
・分水圧が強く、消火能力が高い、消火範囲が広く設定されている。
・ホースを全部引き出して使用するなど操作が難しく、操作に訓練の必要があり、2人以上で扱う必要がある。
・ホースが箱の中にカーテン状に畳み込まれている。
 
②易操作性1号消火栓
〇操作性を向上、一人で操作可能
・1号消火栓が操作に2~3人を要すること、加圧送水装置の起動ボタンの押し忘れがあること、消防用ホースをすべて延長しなければ水が出ないこと、ノズルが放水圧力により振り回され易いこと、消防用ホースが太く重いこと、手元で放水の開閉ができないことなどを指摘されたことを受け、操作性の向上を図り、一人で操作可能なものとして開発された消火栓。
〇消防用ホース
・通常の平織りホースではなく、1人操作がしやすいよう、よこ糸or緯糸の材質に樹脂を使用した「保形ホース」が収納されている。
・ホースの収納方式は、扱いやすさが重視されるためホースを巻けるリールによるホースリール方式、折り畳み等収納方式の2種類が採用されている。
 
③広範囲2号消火栓
・2号消火栓の一種であり、操作は一人ですることができる。
・2号消火栓と比較すると、広範囲に放水することが出来る。
・1号消火栓と比較すると、放水量が少なくなる為、工場や倉庫には設置出来ない。
 
④2号消火栓(令11条第3項第2号イ)
・操作性を高めるため、また、水量の低減化を図るなどにより、一人で容易に操作が可能となるよう基準化。
・放水性能が落ちる為、工場or作業所、倉庫、指定可燃物を貯蔵or取り扱うもの、には設置できない。
 
●構成
〇放水用設備
・屋内消火栓、消防用ホース、消防用ホース収納部、ノズルから構成される設備。
〇消火栓弁
・ホース接続口、開閉弁及びこれらを接続する管路
〇減圧装置
・消火栓弁の放水圧力を減じる装置をいう。
〇降下装置
・消防用ホースを降下させるための装置をいう。
〇加圧送水装置
・消火設備の放水性能を維持するために水を加圧し送水する装置。
・高架水槽方式(高架水槽の落差を利用して送水のための圧力を得る方式),圧力水槽方式(水槽に加えられた圧力を利用して送水を行う方式),ポンプ方式(回転する羽根車により与えられた運動エネルギーを利用し送水のための圧力を得る方式)があるが,一般的には,電動機で駆動するポンプ方式が多く用いられている。
 
2)設置基準等
 
●設置対象の共同住宅、階
〇一般
①耐火・準耐火以外、準耐火で内装制限なし
・延べ面積700㎡以上
②準耐火で内装制限あり、耐火で内装制限なし
・延べ面積1,400㎡以上
③耐火で内装制限あり
・延べ面積2,100㎡以上
 
〇地階・無窓階or4階以上の階
①耐火・準耐火以外、準耐火で内装制限なし
・床面積150㎡以上
②準耐火で内装制限あり、耐火で内装制限なし
・床面積300㎡以上
③耐火で内装制限あり
・床面積450㎡以上
 
※平成17年総務省令40号”特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令の規定により設置が免除されているマンションもある。 消防用設備等 特定共同住宅等の代替消防用設備等
●注意点
・停電時の非常電源として自家発電設備を用いるものは、有効に30分間以上作動できるものでなければならない。
スプリンクラー設備の概要
1)概要
 
・スプリンクラーヘッド、自動警報装置、加圧送水装置、水源および配管弁類等から構成される。
・天井に配置されたスプリンクラーヘッドが火災により生ずる熱or炎により作動し,自動的に消火を行うもので,使用するスプリンクラーヘッドおよび自動警報装置の発信部である流水検知装置により、閉鎖型(湿式、乾式、予作動式)、開放型(一斉散水方式・開放型ヘッドを用いるもの)、放水型の各方式がある。
・閉鎖型はヘッドの放水口が常時閉じていて、開放型は舞台等で用いられヘッドが常時開放していてバルブを開いて放水される。
・マンションでは、閉鎖型の湿式、予作動式が使用される。
 
2)スプリンクラーヘッド
 
●閉鎖型、開放型、放水型
・開放型は舞台部に、放水型は高天井部分に設けるスプリンクラーヘッド。
・家屋など小規模な部屋の場合、一般に使用されるのは閉鎖型。
・アトリウムや吹き抜け等の大空間では、放水銃による放水型が用いられる。 ・火災のときに自動的に火災を感知し,放水する機能をもち,開放型および放水型にあっては,火災信号による自動,遠隔または手動操作により放水するものである。
 
〇開放型
・閉鎖型スプリンクラーヘッドの感熱分解部分がないもの。
 
〇放水型
・大量の可燃物が存し,天井の高さが6mを超える部分,その他の部分で天井の高さが10mを超える部分において,閉鎖型スプリンクラーヘッドでは有効に火災を感知または消火できない高天井部分に適用されるヘッド。
 
3)閉鎖型スプリンクラーヘッド
 
・ヘッド本体,レバー,デフレクター,フレームおよび感熱部等から構成される。
・感熱部の種類にはヒュージブルリンク方式およびグラスバルブ方式がある。
・防火対象物の上部、又は、天井に取り付けられ、火災の熱によりヘッドの周囲温度が上昇すると、ヘッドの感熱体が破壊or変形し、ヘッドの放水を阻止している栓などが外れて放水口から加圧された水が流出する。流出した水は、デフレクターにあたり分散されて、散水を行う。
 
〇標準型ヘッド
・加圧された水をヘッドの軸心を中心とした円上に均一に分散するヘッドをいう。
 
〇小区画型ヘッド
・標準型ヘッドのうち、加圧された水をヘッドの軸心を中心とした円上に均一に分散し天井下0.5mまでの壁面を有効に濡らすヘッドをいう。
・宿泊室,寝室,居間,病室等に設置される。
 
〇側壁型ヘッド
・加圧された水をヘッドの軸心を中心とした半円上に均一に分散するヘッドをいう。
・宿泊室,病院等の廊下,通路等に設置される。
 
〇デフレクター
・放水口から流出する水流を細分させる作用を行うものをいう。
 
●感熱体
・火熱により一定温度に達するとヘッドを作動させるために破壊or変形を生ずるものをいう。
〇ヒュージブルリンク
・易融性金属により融着され、又は易融性物質により組み立てられた感熱体をいう。
〇グラスバルブ
・ガラス球の中に液体等を封入した感熱体をいう。
・ガラス球の中にエーテル等の化学薬品を封入し,内部薬品の熱膨張によってガラス球を破壊することにより、スプリンクラーヘッドを作動させるものである。
 
●湿式、乾式、予作動式
・配管内を常時充水しておく湿式と空管としておく乾式がある。
・連結される送水管は常時水を満たし、すぐ水がでる湿式と、圧縮空気による乾式とがあり、湿式の方が一般的で、常に水が入っていると凍ってしまうので、寒冷地などでは乾式が凍結対策のため使われる。
 
〇湿式
・最も一般的な設備で,閉鎖型スプリンクラーヘッド,湿式流水検知装置,加圧送水装置,水源および配管弁類等から構成される。
・スプリンクラーヘッドが取り付けられる末端配管部分まで常時充水されている。
 
〇乾式
・寒冷地等で配管内の凍結を防止するために使用されるスプリンクラー設備で,閉鎖型スプリンクラーヘッド,乾式流水検知装置,加圧送水装置,エアーコンプレツサー,水源および配管弁類等から構成される。
・乾式流水検知装置の二次側からスプリンクラーヘッドまでの配管内は,常時低圧の空気によって充満されているため,凍結を防止することができる。
 
〇予作動式
・寒冷地等における凍結防止および誤作動による水損を防止するために設置される設備であり,閉鎖型スプリンクラーヘッド,予作動式流水検知装置,火災感知器,加圧送水装置,エアーコンプレツサー,水源および配管弁類等から構成される。
・予作動式流水検知装置の二次側からスプリンクラーヘッドまでの配管内は,常時低圧の空気で充満されている設備であり,スプリンクラーヘッドが作動しても放水されず,火災感知器の作動信号によって予作動式流水検知装置が開放され,はじめて配管内に水が流れ,放水される設備である。
 
4)設置基準
 
・共同住宅においては、その11階以上の階(総務省令で定める部分を除く)にスプリンクラー設備を設置しなければならない。(令12条1項12号)
・原則として11階以上のマンションにはスプリンクラー設備が必要とされ、15階以上では設置義務がある。
 
※平成17年総務省令40号”特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令の規定により設置が免除されているマンションもある。
消防用設備等 特定共同住宅等の代替消防用設備等
泡消火設備の概要
●概要
・泡消火設備は、泡による窒息作用と冷却作用によって消火する。
・水だけでは消火が困難な場合や放水によっては火災が広がるような場合に使用される。
・原理は、空気を導入させる特殊な構造のノズルを用い、放射時に放射ノズルから空気を取り入れ、発泡して噴射する。
・泡消火設備は、消火薬剤を水に混入し、泡ヘッドで空気を巻き込み発泡させて放水消火するものであるが、これは酸素の遮断と、冷却作用によって消火するもので、水による通常の消火方法ではかえって火災の拡大する油脂関係の火災に使用されるので、屋内駐車場などに設置されることが多い。
・水源、加圧送水装置、非常電源、泡放出口等で構成される。
 
●設置基準(令13条1項)
・マンションでは主に屋内駐車場が該当する。
・地階・2階以上の階の駐車場:200m2以上
・1階の駐車場:500m2以上
・屋上の駐車場:300m2以上
・機械式駐車場:収容台数が10台以上

コメントを残す

Your email address will not be published.

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください