消防用設備等 特定共同住宅等の代替消防用設備等

〇消防法:
〇消防法施行令:29条の4
〇消防法施行規則:
〇過去問
・管理業務主任者 H30問23
・マンション管理士 
 
 
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特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防用設備等
●必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する基準(施行令29条の4第1項)
 
・”通常用いられる消防用設備等” に代えて、
・”総務省令” で定めるところにより
・その防火安全性能(
  ・火災の拡大を初期に抑制する性能、
  ・火災時に安全に避難することを支援する性能又は
  ・消防隊による活動を支援する性能をいう)が
・同等以上であると認める設備等を用いることができる。
 
●共同住宅等で使用可能な代替設備を規定する総務省令
 
平成17年総務省令40号”特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令”で規定。
 
〇趣旨(1条)
・この省令は、令29条の4第1項の規定に基づき、”特定共同住宅等”における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関し必要な事項を定めるものとする。
 
〇”特定共同住宅等”の定義
・以下に掲げる防火対象物であって、火災の発生or延焼のおそれが少ないものとして、その位置、構造及び設備について消防庁長官が定める基準(平成17年消防庁告示第2号)に適合するものをいう。
 ・令別表第1(5)項ロに掲げる防火対象物(寄宿舎、下宿、共同住宅)
 ・令別表第1(16)項イに掲げる防火対象物(特定用途防火対象物が入る複合用途防火対象物)
※特定共同住宅等には、レストラン及びコンビニエンスストアが入っている複合用途の共同住宅は含まれない。
特定共同住宅等の位置、構造及び設備
※特定共同住宅等の位置、構造及び設備を定める件(平成17年消防庁告示第2号)
 
1)特定共同住宅の概要
 
・普通の共同住宅より建物構造、二方向避難、開放性等の一定条件で規制する事により、法令設置する消防用設備を緩和するもの。
→建物が延焼し難く、避難し易い構造で基準を満たしたものは”特定共同住宅”とされ、消防用設備の設置義務が免除or緩和される。
・屋内消火栓設備やスプリンクラー設備を免除したり、消火器や自動火災報知設備、スプリンクラー設備等を共同住宅専用の設備で設置できる
 
2)特定共同住宅等の位置、構造及び設備(第3)
 
・通常用いられる消防用設備等に代えて、必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等を用いることができる特定共同住宅等は、その位置、構造及び設備が次の各号に適合するものとする。
 
●主要構造部が耐火構造
 
●共用部分の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料
 
●住戸等を開口部のない耐火構造の床or壁で区画する
〇例外
・住戸等の床・壁、当該床・壁を貫通する配管or電気配線等が次に定める基準に適合する場合は、この限りでない。
 
①床or壁は、耐火構造であること。
 
②住戸等の外壁に面する開口部
・当該住戸等に接する他の住戸等の開口部との間に設けられる外壁面から0.5m以上突出した耐火構造のひさし、床、そで壁等で防火上有効に遮られていること。
・ただし、当該住戸等に接する他の住戸等の外壁に面する開口部相互間の距離が、0.9m以上であり、かつ、次に定める基準のいずれかに適合する場合は、この限りでない。
イ)上下に設けられた開口部(直径0.15m以下の換気口等及び相互間の距離が3.6m以上である開口部を除く)に防火設備である防火戸が設けられていること。
ロ)住戸等で発生した火災により、当該住戸等から当該住戸等及びそれに接する他の住戸等の外壁に面する開口部を介して他の住戸等へ延焼しないよう措置されたものであること。
 
③住戸等と共用部分を区画する壁
イ)開口部には、防火設備(主たる出入口に設けられるものにあっては、随時開くことができる自動閉鎖装置付のものに限る)である防火戸が設けられていること。
ロ)開放型特定共同住宅等及び二方向避難・開放型特定共同住宅等以外の特定共同住宅等の住戸等にあっては、開口部の面積の合計が一の住戸等につき4m2(共用室にあっては、8m2)以下であること。
ハ)ロの規定による一の開口部の面積は、2m2以下であること。
 
④床or壁を貫通する配管等及びそれらの貫通部
イ)配管の用途は、給排水管、空調用冷温水管、ガス管、冷媒管、配電管その他これらに類するものであること。
ロ)配管等の呼び径は、200㎜以下であること。
ハ)配管等を貫通させるために設ける開口部は、内部の断面積が直径300㎜の円の面積以下であること。
二)配管等を貫通させるために設ける開口部を床or壁(住戸等と共用部分を区画する床or壁を除く)に2以上設ける場合にあっては、配管等を貫通させるために設ける開口部相互間の距離は、当該開口部の最大直径以上であること。
ホ)床or壁を貫通する配管等及びそれらの貫通部は、次の(イ)又(ロ)はに定めるところによるものであること。
(イ)配管は、建築基準法施行令129条の2の5第1項第7号イ又はロに適合するものとし、かつ、当該配管と当該配管を貫通させるために設ける開口部とのすき間を不燃材料で埋めること。
(ロ)別に告示で定めるところにより、床or壁を貫通する配管等及びそれらの貫通部が一体として耐火性能を有しているものとして認められたものであること。
へ)配管等には、その表面に可燃物が接触しないような措置を講じること。ただし、当該配管等に可燃物が接触しても発火するおそれがないと認められる場合は、この限りでない。
特定共同住宅等の種類
・特定共同住宅等の種類は、構造類型ごとに階数による区分もなされている。
 
①2方向避難型特定共同住宅等
・火災時に、すべての住戸、共用室及び管理人室から、少なくとも1以上の避難経路を利用して安全に避難できるようにするため、避難階又は地上に通ずる2以上の異なった避難経路を確保している特定共同住宅等として消防庁長官が定める構造を有するものをいう。
 
②開放型特定共同住宅等
・すべての住戸、共用室及び管理人室について、その主たる出入口が開放型廊下又は開放型階段に面していることにより、特定共同住宅等における火災時に生ずる煙を有効に排出することができる特定共同住宅等として消防庁長官が定める構造を有するものをいう。
 
③2方向避難・開放型特定共同住宅等
・火災時に、すべての住戸、共用室及び管理人室から、少なくとも1以上の避難経路を利用して安全に避難できるようにするため、避難階又は地上に通ずる2以上の異なった避難経路を確保し、かつ、その主たる出入口が開放型廊下又は開放型階段に面していることにより、特定共同住宅等における火災時に生ずる煙を有効に排出することができる特定共同住宅等として消防庁長官が定める構造を有するものをいう。
 
④その他の特定共同住宅等
・前3号に掲げるもの以外の特定共同住宅等をいう。
特定共同住宅等で使用可能な代替消防用設備(初期拡大抑制性能用設備)
●必要とされる初期拡大抑制性能を有する消防の用に供する設備等に関する基準(3条)
・火災の拡大を初期に抑制する性能を主として有する通常用いられる消防用設備等に代えて用いることができる代替設備。
 
1)その他の特定共同住宅等
 
①階数が10以下
●通常用いられる消防用設備等
・消火器具、自動火災報知設備、屋外消火栓設備、動力消防ポンプ設備
●可能な代替設備
・住宅用消火器及び消火器具、共同住宅用自動火災報知設備
 
②階数が11以上
●通常用いられる消防用設備等
・消火器具、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、自動火災報知設備、屋外消火栓設備、動力消防ポンプ設備
●可能な代替設備
・住宅用消火器及び消火器具、共同住宅用スプリンクラー設備、共同住宅用自動火災報知設備
 
2)二方向避難型特定共同住宅等
 
①階数が5以下
●通常用いられる消防用設備等
・消火器具、自動火災報知設備、屋外消火栓設備、動力消防ポンプ設備
●可能な代替設備
・住宅用消火器及び消火器具、共同住宅用自動火災報知設備or住戸用自動火災報知設備及び共同住宅用非常警報設備
 
②階数が10以下
●通常用いられる消防用設備等
・消火器具、自動火災報知設備、屋外消火栓設備、動力消防ポンプ設備
●可能な代替設備
・住宅用消火器及び消火器具、共同住宅用自動火災報知設備
 
③階数が11以上
●通常用いられる消防用設備等
・消火器具、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、自動火災報知設備、屋外消火栓設備、動力消防ポンプ設備
●可能な代替設備
・住宅用消火器及び消火器具、共同住宅用スプリンクラー設備、共同住宅用自動火災報知設備
 
3)開放型特定共同住宅等
 
①階数が5以下
●通常用いられる消防用設備等
・消火器具、屋内消火栓設備、自動火災報知設備、屋外消火栓設備、動力消防ポンプ設備
●可能な代替設備
・住宅用消火器及び消火器具、共同住宅用自動火災報知設備or住戸用自動火災報知設備及び共同住宅用非常警報設備
 
②階数が10以下
●通常用いられる消防用設備等
・消火器具、屋内消火栓設備、自動火災報知設備、屋外消火栓設備、動力消防ポンプ設備
●可能な代替設備
・住宅用消火器及び消火器具、共同住宅用自動火災報知設備
 
③階数が11以上
●通常用いられる消防用設備等
・消火器具、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、自動火災報知設備、屋外消火栓設備、動力消防ポンプ設備
●可能な代替設備
・住宅用消火器及び消火器具、共同住宅用スプリンクラー設備、共同住宅用自動火災報知設備
 
4)二方向避難・開放型特定共同住宅等
 
①階数が10以下
●通常用いられる消防用設備等
・消火器具、屋内消火栓設備、自動火災報知設備、屋外消火栓設備、動力消防ポンプ設備
●可能な代替設備
・住宅用消火器及び消火器具、共同住宅用自動火災報知設備or住戸用自動火災報知設備及び共同住宅用非常警報設備
 
②階数が11以上
●通常用いられる消防用設備等
・消火器具、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、自動火災報知設備、屋外消火栓設備、動力消防ポンプ設備
●可能な代替設備
・住宅用消火器及び消火器具、共同住宅用スプリンクラー設備、共同住宅用自動火災報知設備
特定共同住宅等で使用可能な代替消防用設備(避難安全支援性能用設備)
●必要とされる避難安全支援性能を有する消防の用に供する設備等に関する基準(4条)
・特定共同住宅等において、火災時に安全に避難することを支援する性能を主として有する通常用いられる消防用設備等に代えて用いることができる代替設備。
 
1)その他の特定共同住宅等
 
●通常用いられる消防用設備等
・自動火災報知設備、非常警報器具or非常警報設備、避難器具
●可能な代替設備
・共同住宅用自動火災報知設備
 
2)二方向避難型特定共同住宅等
 
①階数が5以下
●通常用いられる消防用設備等
・自動火災報知設備、非常警報器具or非常警報設備、避難器具
●可能な代替設備
・共同住宅用自動火災報知設備or住戸用自動火災報知設備及び共同住宅用非常警報設備
 
②階数が6以上
●通常用いられる消防用設備等
・自動火災報知設備、非常警報器具or非常警報設備、避難器具
●可能な代替設備
・共同住宅用自動火災報知設備
 
3)開放型特定共同住宅等
 
①階数が5以下
●通常用いられる消防用設備等
・自動火災報知設備、非常警報器具or非常警報設備、避難器具、誘導灯及び誘導標識
●可能な代替設備
・共同住宅用自動火災報知設備or住戸用自動火災報知設備及び共同住宅用非常警報設備
 
②階数が6以上
●通常用いられる消防用設備等
・自動火災報知設備、非常警報器具or非常警報設備、避難器具、誘導灯及び誘導標識
●可能な代替設備
・共同住宅用自動火災報知設備
 
4)二方向避難・開放型特定共同住宅等
 
①階数が10以下
●通常用いられる消防用設備等
・自動火災報知設備、非常警報器具or非常警報設備、避難器具、誘導灯及び誘導標識
●可能な代替設備
・共同住宅用自動火災報知設備or住戸用自動火災報知設備及び共同住宅用非常警報設備
 
②階数が11以上
●通常用いられる消防用設備等
・自動火災報知設備、非常警報器具or非常警報設備、避難器具、誘導灯及び誘導標識
●可能な代替設備
・共同住宅用自動火災報知設備
住宅用消火器及び消火器具
1)住宅用消火器
・消火器の技術上の規格を定める省令1条の2第2号に規定するものをいう。
 
〇消火器
・水その他消火剤を圧力により放射して消火を行う器具で人が操作するもの(収納容器に結合させることにより人が操作するものを含み、固定した状態で使用するもの及びエアゾール式簡易消火具を除く)をいう。
〇住宅用消火器
・消火器のうち、住宅における使用に限り適した構造及び性能を有するものをいう。
 
2)設置基準
・住宅用消火器は、住戸、共用室or管理人室ごとに設置すること。
・消火器具は、共用部分及び倉庫、機械室等(共用部分等)に、各階ごとに当該共用部分等の各部分から、それぞれ一の消火器具に至る歩行距離が20m以下となるように、技術上の基準の例により設置すること。
 ただし、特定共同住宅等の廊下、階段室等のうち、住宅用消火器が設置された住戸、共用室or管理人室に面する部分にあっては、消火器具を設置しないことができる。
共同住宅用スプリンクラー設備
・”特定共同住宅等における”火災時に火災の拡大を初期に抑制するための設備であって、スプリンクラーヘッド(小区画型ヘッド)、制御弁、自動警報装置、加圧送水装置、送水口等で構成され、かつ、住戸、共用室or管理人室ごとに自動警報装置の発信部が設けられているものをいう。
共同住宅用自動火災報知設備
・火災時に火災の拡大を初期に抑制し、かつ、安全に避難することを支援するために、”特定共同住宅等における”火災の発生を感知し、及び”当該特定共同住宅等に”火災の発生を報知する設備であって、受信機、感知器、戸外表示器(住戸等の外部において、受信機から火災が発生した旨の信号を受信し、火災の発生を報知するものをいう)等で構成され、かつ、自動試験機能or遠隔試験機能を有することにより、住戸の自動試験機能等対応型感知器の機能の異常が当該住戸の外部から容易に確認できるものをいう。
住戸用自動火災報知設備及び共同住宅用非常警報設備
●住戸用自動火災報知設備
・火災の拡大を初期に抑制し、かつ、安全に避難することを支援するために、”住戸等における”火災の発生を感知し、及び”当該住戸等に”火災の発生を報知する設備であって、受信機、感知器、戸外表示器等で構成され、かつ、遠隔試験機能を有することにより、住戸の自動試験機能等対応型感知器の機能の異常が当該住戸の外部から容易に確認できるものをいう。
 
●共同住宅用非常警報設備
・特定共同住宅等における火災時に安全に避難することを支援するための設備であって、起動装置、音響装置、操作部等で構成されるものをいう。
消防活動支援性能を有する設備等の代替設備
●必要とされる消防活動支援性能を有する消防の用に供する設備等に関する基準(5条)
・特定共同住宅等(住戸、共用室及び管理人室について、その主たる出入口が階段室等に面する特定共同住宅等に限る)において、消防隊による活動を支援する性能を主として有する通常用いられる消防用設備等(連結送水管及び非常コンセント設備に限る)に代えて用いることができる必要とされる消防活動支援性能を主として有する消防の用に供する設備等は、共同住宅用連結送水管及び共同住宅用非常コンセント設備とする。
 
1)共同住宅用連結送水管の基準
 
・放水口は、3階及び当該階から上方に数えた階数3以内ごとに、かつ、特定共同住宅等の各部分から一の放水口に至る歩行距離が50m以下となるように、設けること。
 
2)共同住宅用非常コンセント設備の基準
 
・非常コンセントは、11階及び当該階から上方に数えた階数3以内ごとに、かつ、特定共同住宅等の各部分から一の非常コンセントに至る歩行距離が50m以下となるように、設けること。

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