物権の概要

〇民法:175~179条
〇過去問
・管理業務主任者 H17問3、H18問4、H20問6、H25問4、H26問1、H28問6
・マンション管理士 H13問15、H14問13、H25問12,13、H27問8、H29問16
 
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物権の性質
・物権とは”物”を直接的、排他的に支配する権利。
①対世権
・基本的にすべての人に対して権利を主張することができる。
〇債権との違い
・債権というのは、特定の人に対して一定の行為を請求できる権利にすぎず、債務者に対してのみ主張できるのが原則。
 
②排他性
・一物一権主義。
物権の効力
1)優先的効力
 
・物権というのは、物を直接に支配できる排他的な権利
→物権には優先的効力がある。
 
①債権に対する優先的効力
・同じ内容の物権と債権が同じ物の上に成立するときは、原則として物権が優先。
例外)
・対抗力を備えた不動産賃借権については、賃借権は債権であるにもかかわらず、不動産賃借権が優先。
 
②物権相互間の優先的効力
・原則として先に対抗要件を備えた方が優先。
・対抗要件は、不動産は登記(177条)、動産は引渡し(178条)になる。
例外)
・先取特権などは、その先取特権の種類の性質から優劣が決定されている。
 
2)物権的請求権(物上請求権)
 
・物権というのは、物を直接に支配できる排他的な権利なので、その物権が侵害された場合、あるいは侵害されようとしている場合には、物権を有する者は、侵害者に対してその侵害の廃除又は侵害に対する予防措置、場合によっては損害賠償を請求することができる。
 
①返還請求権
・物権を有する者が、全面的に占有を失った場合。
・自己所有の土地に隣地との境界壁が作られ、その部分を使用できなくなった場合の、その境界壁を取り壊す請求なども含まれる。
 
②妨害排除請求権
・返還請求権は、物権者が占有を全面的に失った場合であるのに対して、占有を全面的に失ったとはいえないが、円満な物の支配が妨げられている場合。
・隣地の擁壁が崩れ自己所有の土地に土石が侵入した場合の、その土石を撤去する請求など。
 
③妨害予防請求権
・物権に対する侵害が、まだ現実のものではなく、将来妨害が発生するおそれのある場合に認められるもの。
・隣地の老木が自己所有の土地に倒れかかっている場合の、その木を切除する請求など。
物権法定主義、物権の創設
・物権は、この法律その他の法律に定めるもののほか、創設することができない。
※「債権」は、契約自由の原則に基づき法律に定めたものに限らず、当事者が自由に創設することができる。民法に定められた契約以外のものを無名契約という。
 
〇物権の種類
・所有権:使用、収益、処分のすべてができる。
・制限物権
  用益物権:他人の土地を使用・収益できる
   地上権
   永久小作権
   地役権
   入会権
  担保物権:他人の物を債権の回収をはかるために利用する
   法定担保物権
    留置権
    先取特権
   約定担保物権
    質権
    抵当権
・占有権:物の所持そのものを保護する権利
 
※不動産に関しては、占有権、入会権、留置権は、登記不可。

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