連帯債務

〇民法:436~445条
〇過去問
・管理業務主任者 H24問5、H29問5
 
 
※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
連帯債務の概要
1)連帯債務とは
 
・数人の債務者が、同一の内容の債務について、独立して全責任を負う債務。
・連帯債務が念頭に置いているのは金銭債務。
・債権者との関係では、連帯債務者は、それぞれ、債務額の全額の支払をしなければならない。(外部関係)
・弁済後は、連帯債務者間で負担部分に応じて求償(請求)して決する。(内部関係)
 
2)連帯債務の成立
 
・連帯債務は、契約や法律の規定によって成立する。
 
〇数人が同時に不法行為を行い損害が発生した場合
・その損害賠償債務は、法律上当然に、共同不法行為者の連帯債務となる。
 
〇連帯債務者の一人についての法律行為の無効等(437条)
・連帯債務者の一人について法律行為の無効又は取消しの原因があっても、他の連帯債務者の債務は、その効力を妨げられない。
例)連帯債務者の一人が制限行為能力者で、その債務を負担する契約が取り消されたり、連帯債務者の一人が意思無能力で、その契約が無効となった場合でも、他の連帯債務者は依然として債務を負うことになる。
 
3)連帯債務の請求の方法(436条)
 
・数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。
相対的効力の原則
●相対的効力の原則(441条)
 
・連帯債務者の一人が行った行為は、原則的には他の債務者に影響を及ぼさない(相対効)。
①期限の猶予
②請求、時効の完成猶予・更新、債務免除
③債権譲渡の対抗要件、判決の効力、時効利益の放棄
④債務の承認
 
〇上記原則の例外(絶対効)
①更改(438条)
②相殺(439条)
③混同(440条)
絶対的効力事由
・債権者と一人の連帯債務者の間に以下の事由が生じた場合には、債権者と他の連帯債務者の間にも効力を及ぼす。
 
1)弁済(代物弁済、供託を含む)
 
・連帯債務においては、債務者の人数は増えても債権者が最終的に受けるべき弁済額が増えるわけではないから、連帯債務者の一人が債務全額を弁済すれば債務はすべて消滅し、その効力は他の連帯債務者にも及ぶ。
 また、連帯債務者の一人が債務の一部を弁済したときは、他の連帯債務者との関係でもその弁済額の限度で債務が消滅する。
 
2)更改(438条)
 
・連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。
※更改:旧債務を消滅させ、新しい債務を成立させること。
 
3)相殺(439条)
 
・反対債権を有している連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。
・反対債権を有している連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分を限度に、他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
 
4)混同(440条)
 
・連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、弁済をしたものとみなされる。
連帯債務の求償関係
●連帯債務者間の求償権(442条)
・連帯債務者は、債権者に対しては各自全額の支払義務を負うが、連帯債務者相互間においては、負担部分が決まっていて、基本的に連帯債務者間の特約で定まるが、この特約などがない場合は、平等の割合で負担するというのが通説・判例。
・連帯債務者の一人が弁済をし共同の免責を得たときは、免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかに関わらず、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分に応じて求償することができる。
 
●通知を怠った連帯債務者の求償の制限(443条)
①債務者が他の連帯債務者に通知しないで弁済したときは、他の連帯債務者が債権者に対抗できる事由があれば、その連帯債務者は求償に応じなくてよい。
※普通の弁済方法によるばかりでなく、代物弁済・供託・更改・相殺・混同などによるときも同様。
・他の連帯債務者が、債権者に反対債権をもっており、これで相殺を主張できるときには、通知しなかったという過失のある弁済をした債務者は、その連帯債務者から返還してもらうことができず、債権者から相殺し得た額を返してもらうことになる。
②債務者の1人が弁済した後、他の連帯債務者に通知しないでいるうちに、他の連帯債務者が、すでに弁済のあったことを知らずに、二重に弁済してしまったときには、その弁済をした連帯債務者は自分の弁済のほうが有効であると主張できる。弁済以外の理由で共同の免責を得たときも同様。

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