遺産分割、共同相続、遺言

〇民法:882~914条、960~1027条
〇過去問
・管理業務主任者 H13問9、H15問9、H16問11、H17問5、H18問5、H20問4、H22問10、H24問11、H25問2、H26問10、H28問6
・マンション管理士 H15問30、H16問14、H17問18、H19問17、H20問16、H21問14、H23問15,16、H24問12、H25問15、H26問13、H29問15,17
 
 
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相続人
1)相続の開始
 
●相続開始の原因(882条)
・相続は、死亡によって開始する。
 
〇同時死亡の推定(32条の2)
・数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。
→同時死亡の推定を受ける場合には、死亡者相互間には相続が開始しない。ただし、代襲相続ができる。
 
2)相続人、相続分(887条)
 
●法定相続人
○配偶者相続人(890条)
・役所に届出をした配偶者のみ。
・内縁関係、事実上夫婦と同様の生活をしているが、役所へ届出していないような夫婦は、相互に相続権がない。
○血族相続人
子ども→直系尊属→兄弟姉妹(代襲相続は一代限り)
 
●相続分(889条、900条)
第一順位:配偶者と子の場合:1/2ずつ
第二順位(子がいない場合):配偶者と直系尊属の場合:2/3と1/3
第三順位(子・両親がいない場合):配偶者と兄弟姉妹の場合:3/4と1/4
 
・被相続人の配偶者は常に相続人となり、上記の順位で相続人となった者と同順位で相続人となる(890条)。同順位同士との相続となるのであって、遺言による指定がない限り他順位間とで相続することはない。
 
●代襲相続と再代襲相続
・被相続人が亡くなり、相続が発生するよりも前に相続人が死亡している場合や、相続欠格事由に該当している場合などには、その相続人の子供や孫が代わりに相続人となる。
・相続人の子も相続開始よりも先に亡くなっているようなときは孫が、孫も亡くなっていればひ孫が・・・という様に、どこまでも下の代まで代襲して相続をするという制度もある。(再代襲相続)
・被相続人の子が相続の開始以前に、
“死亡”、”相続欠格”、”廃除”
によって相続権を失ったときに、代襲相続。
・”相続放棄”の場合は該当しない。
 
●相続人の欠格事由(891条)
・詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者。
・相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者。
 
●相続排除(892条)
・被相続人に対して、著しい非行等があったような場合、被相続人の意志によって、あらかじめ相続権を失わせる制度。
・家庭裁判所での審判が必要。
・この相続人の廃除の手続きは、遺言ですることもできる(遺言執行者による家裁への請求は必要。
 
3)相続の効力
 
●相続の一般的効力(896条)
・相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した”一切の権利義務”を承継する。
※賃借人の死亡は賃貸借契約の終了原因とはされておらず、賃借権も相続人に相続される。
・”義務”も承継するので、借金なども相続する。
・契約の無効の主張又は取消しの意思表示をする権利も承継する。
共同相続
●共同相続の効力(898条)
・相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。そして、この共有財産の上に、相続人が相続分に従って持分を持っているという形になる。
・遺産分割があるまでの相続財産については、基本的に共有の規定に従って処理する。
 
●共同相続の持分(899条)
・各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。
 
〇債権
①可分債権
・相続分に応じて相続開始と同時に法律上当然に共同相続人に分割される。
※金銭そのものが相続財産である場合、各相続人は、遺産分割までの間は、その金銭を相続財産として保管している他の相続人に対して、自己の相続分に相当する金銭の支払を求めることができない(判例)
②不可分債権
・不可分債権については、遺産分割までは分割帰属することはなく、各債権者はすべての債権者のために履行を請求することができる(民法428条)。
 
〇債務
①可分債務
・法律上当然に分割され、各相続人は相続分に応じて責任を負う。
②連帯債務
・原債務は当然分割され、各共同相続人は相続分に応じて承継した債務の範囲を負担部分として、本来の連帯債務者と連帯責任を負う。
③不可分債務
・遺産分割の前後を通じて、各相続人が全部について履行の責を負う。
 
●死亡後、遺産分割までに新たに発生した債務
 
〇可分債務
・金銭債務のような可分債務が相続された場合は、遺産分割前であっても、相続のときに当然に分割されたものとなる(判例)。
例)
・被相続人がマンション管理費を滞納していた場合、各相続人は各1/2について支払義務を負う。
・不動産の賃料債権は、不動産から生じる金銭債権であるから、遺産分割前においても、共同相続人は、それぞれ相続分に応じてそれぞれ単独で請求することができる。
 
〇不可分債務(430条)
・死亡後遺産分割までに新たに発生した管理費については不可分債務となり、債権者は、その債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。
・本来、管理費等は金銭債務として可分債務のように思われるが、管理費等は共用部分の維持管理に必要な費用であり、専有部分の共有者が不可分に利益を享受しているので、不可分債務と考えられている。
 
●共同相続人間の担保責任(911条)
・各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。
例)A(1000万の区分マンション)、B(1000万の債権)、C(1000万の現金)を遺産分割して相続
→区分マンションに隠れた瑕疵を発見。
→共同相続人であるBとCも売主の担保責任”を負っているので、AはBとCに損害賠償を請求できる。
 
●相続財産の管理(918条)
・相続財産については、共同相続の場合は相続人の共有になるが、相続人は、承認または放棄があるまで、その”固有財産におけるのと同一の注意”をもって、相続財産を管理しなければいけない。
 この”固有財産におけるのと同一の注意”というのは、”自己の財産におけると同一の注意義務”などと同じ意味で、善管注意義務よりは軽い注意義務。
・相続放棄をすればこの注意義務もなくなるが、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまでは、”自己の財産におけるのと同一の注意”をもって、その財産の管理を継続しなければいけない。
 
●遺産分割前における預貯金債権の仮払い制度(909条の2)
・相続された預貯金債権は遺産分割の対象財産なので、原則として遺産分割が終了するまでの間は被相続人の預金の払戻ができないところ、相続人の当面の必要生計費や葬式費用の支払いなどの資金需要があっても払戻されないとう不都合を回避するため、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額のうち一定額(相続開始時の預貯金債権の額×1/3×法定相続分)については、遺産分割前にも、共同相続人が、単独でその権利を行使することができる。
 この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。
 
●共同相続における権利の承継の対抗要件
・不動産及び動産を共同相続により承継した場合、法定相続分を超える部分については、登記等の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。
遺産分割
1)遺産分割とは(907条)
 
・遺産分割とは、共有となった相続財産を、各相続人に具体的に分配すること。 ・共有物の分割と同様に、まずは当事者が協議で分割し、同意できなかったときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。
 
2)遺産分割の方法
 
①遺言による分割(指定分割)(908条)
・被相続人は、遺言で、分割の方法を定めることができる。
・遺言による分割指定の方法があれば、まずそれに従う。
・相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。
 
②相続人間の協議による分割(協議分割)
・遺言による指定がない場合には、相続人の協議により分割する。
・この当事者が行う遺産分割協議においては、共同相続人全員の同意が必要であり、共同相続人の多数決などで決することはできない。
・共同相続人は、被相続人が、遺言で遺産の分割を禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。これについて特に5年以内というような期間の制限はなされていない。
 
③家庭裁判所の審判による分割(審判分割)
・協議が調わないときは、各共同相続人は、家庭裁判所に請求することができる。
・特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。
 
3)遺産分割の遡及効
 
●遺産の分割の効力(909条)
・遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。
・ただし、第三者の権利を害することはできない。
遺言
●遺言とは
・遺言は、相続分の指定や遺贈など、遺言者の意思を実現するために行う。
・遺言者自ら行う必要があり、代理人による遺言はできない。
・遺言は、必ず1人が1つの証書でしなければならず、2人以上共同して、同一の証書で遺言することはできない。これに反して行われた遺言は無効(975条)。
 
●遺言の方式(960条)
・遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。
〇自筆証書遺言
・遺言者は、遺言の全文、日付・氏名を自書し、これに押印しなければならない。
・自筆証書遺言に一体のものとして財産目録を添付する場合には、その目録については自筆を要しない。
・証人は不要。
〇公正証書遺言
・証人が2人以上必要。
〇秘密証書遺言
・証人が2人以上必要。
 
●遺言能力(961条)
・15歳に達した者は、遺言をすることができる。
 
●遺言の撤回(1022条~)
・遺言は、その効力を生ずるまでは、いつでも撤回できる。
〇撤回の方法
・遺言は、遺言の方式に従って撤回できる。
・前の遺言と抵触する遺言や法律行為をしたとき、あるいは故意に遺言書を破棄したときなどは、遺言は、その抵触する部分や破棄した部分について、当然に撤回したものとみなされる。
 
●遺言の執行
〇遺言書の検認(1004条)
・公正証書遺言以外の遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、遺言書を家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。
※検認の手続きを経なかった場合でも、遺言が無効になるわけではない。
 
〇遺言執行者の指定(1006条)
・遺言者は、遺言で、1人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。

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