長寿命の屋上防水の工法

職人さんの人出不足、人件費アップ、材料費アップなどによって工事費用が年々増加しています。これだけ工事コストが増加していると多少初期コストが高くなったとしても耐用年数が大幅に増加するのであればそのような長寿命の工法を採用するのも選択肢の一つかと思います。
 
屋上防水における長寿命の工法についてその概要と特長などについてまとめています。  
※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
ノボタン防水システム
※NOVOtan Japan ノボタン・ジャパン | 30年保証の「屋上防水システム」をご提供するノボタン・ジャパン
 
(1)概要
 
・”ドイツ製の高品質なゴム(EPDM:エチレン、プロピレン、ジエンからなる加硫ゴム)を使用した高い耐久性。
・30年の長期保証
 
●長寿命の理由
①強くて柔軟なゴム
・ドイツのSAARGUMMI社製の天然ゴムに最も近い合成ゴムEPDM(エチレン、プロピレン、ジエンからなる加硫ゴム)で、紫外線・温度変化・オゾン薬品等に強く、劣化しにくく、ノーメンテナンスでも日本の合成ゴムに比べて数倍長持ちする。
②熱融着施工
・シートの継ぎ目を熱融着で施工ができる為、継ぎ目の剥離がおきず、継ぎ目からの漏水の心配がない。
③オーダーメイド加工
・漏水が発生しやすい排水溝廻り・コーナー部分設備配管廻りを成形役物部品で施工。
・その場所に合わせたオーダーメイド加工した部品を使用することでより一層耐久性がアップ。
 
(2)施工方法
 
・単体シート使用。施工時熱融着
 
〇平場
・部分接着(低層のRC建物)
・機械固定(中高層のRC建物)
・部分接着併用機械固定(中高層のRC建物及び強風地域)
 
〇立上がり
・密着工法
 
(3)保証
 
・従来の防水保証では保証を履行する企業の存続が問題となる可能性があったが、ノボタンの保証システムは施工業者、メーカー、保証引受機関(※)の3者連名の契約で実行されるため、期間中の保証を確実なものとする。
※保証引受機関:ノボタンジャパンと施工業者による共済会のこと。
 
●点検スケジュール
・6ケ月、1年、10年、20年、30年
ポリオレフィン樹脂を使用したシート防水
(1)ポリオレフィン樹脂を使用したシート防水の特長
 
1)可塑剤フリー
 
●従来の弾性防水材
・可塑剤が大量に配合されているが、この可塑剤には樹脂となじむ性質である相溶性があり、これが配合された樹脂からの他の素材への移行を招き、樹脂の硬化や収縮を引き起こす。
→屋上防水材中の可塑剤は徐々に雨水等へ移行し防水材の硬化や収縮の原因となる。特に高温時にこの現象が起こりやすくなる。
 
●ポリオレフィン樹脂
・素材自体に大きな弾性があるため可塑剤が含まれておらず、経年で弾性の低下が起こらない。
 
2)不飽和結合、加水分解ゼロ
 
・ポリオレフィン樹脂は炭素同士の多重結合がない飽和化合物で、飽和化合物は化学的に安定し水や酸との反応が起きない。
・屋上の水溜まりは、加水分解の現象により強度が低下するが、ポリオレフィン樹脂は加水分解せず、水溜まりを気にする必要がない。
 
●他の防水材料との比較
〇アスファルト
・アスファルトは天然物であるため炭素同士の多重結合のある不飽和化合物。
・多重結合の量は製品毎にバラつきがある。
 
〇ポリ塩化ビニル
・製造時には不飽和結合はないが、経年で脱塩酸という現象が起こると不飽和結合ができ急速に劣化が起こる。
・金属との接触や高温により脱塩酸は促進される。
 
3)耐紫外線性
 
・最先端の紫外線吸収剤(UVA)と光安定剤(HALS)が配合されている。
・紫外線の光化学反応が全くなく、経年劣化しない。
 
●紫外線吸収剤(UVA)
・紫外線には強い化学的作用があり、有機物の分子結合を開裂し劣化させる(光化学反応)ため、樹脂の退色、クラックの発生、抗張力及び伸びの低下など防水性を低下させる様々な現象が起こる。
・紫外線吸収剤は光化学反応を防止する代表的な添加剤で、紫外線光子のもつエネルギーを無害な熱、光、振動などに変換し放出することにより有機物を基底状態に保つ作用がある。
 
●光安定剤(HALS)
・紫外線吸収剤だけでは防ぎきれない光化学反応を無害化する働きのある添加剤を光安定剤という。
・紫外線吸収剤と相乗作用があるため通常併用される。
 
4)通気性
 
・通気性があり、脱気装置は不要。
 
(2)カスター社のポリフィン
 
※カスター・ピーエヌ・ジャパン株式会社 – 25年間防水保証屋上防水シート ポリフィン
 
1)施工方法
 
●カバー工法
・既存の防水層を撤去しない機械固定カバー工法。
・下地の状態を問わない。
 
●防水層の機械固定
〇専用スパイク
・通常のビスは緩む方向に力が加わり、プラグビスはプラグが潰れることにより引抜強度が経年で低下してしまうが、ポリフィン専用スパイクは長期間高い引抜強度を保持する。
 
〇鍛造処理
・スパイク、ディスクとも動きや大きな温度変化のある屋上に対応するため鍛造処理されたバネ性の高い鋼材を使用。
 
2)25年間防水保証
 
①施工後0~10年
・施工1、3、5年後に定期点検。
・必要に応じ手直しを行う(無償)。
 
②施工10年後:小規模メンテナンス
・必要に応じ手直しを行う(無償)。
・併用するシール材及びウレタン防水の再施工(有償)
 
③施工15年後
・必要に応じ手直しを行う(無償)。
 
④施工20年後:小規模メンテナンス
・必要に応じ手直しを行う(無償)。
・併用するシール材及びウレタン防水の再施工(有償)
 
⑤施工25年後:保証完了
・施工状態をチェックし保証を完了する(無償)。
 
(3)カシワバラ Kプラスルーフガード30
 
※オリジナル屋上防水30年保証|カシワバラ・コーポレーション
 
1)施工方法
 
●機械固定カバー工法
・既存防水層を撤去せず、その上に専用固定具で、部分的にシートを固定するワンピース式の機械固定カバー工法。
・ポリオレフィン樹脂に、最先端の紫外線吸収剤と光安定剤を配合し、国際規格である2mmの厚みを持つ防水シート。
 
●防水層の機械固定
〇専用固定部品
・鍛造処理したバネ性のある高強度な専用部品で防水シートを固定。
 
〇ディスク
・鍛造処理したバネ性のあるディスクは、アールがかった形状は接地面が少なく、風圧力がかかっても反り返らない。
 
〇スパイク
・鍛造処理したバネ性のある高強度なスパイクの形状は、スクリュー型ではなく風圧力がかかっても緩む力が加わらないように設計。
※一般的な塩ビシート機械固定の固定はプラグビス。溝のあるスクリュー型であるビスは、風圧力で徐々に回転し緩み、プラスチック樹脂のプラグは経年劣化する。
 
●笠木部分
〇笠木用専用鋼板
・亜鉛めっき鋼板の表面にポリオレフィン樹脂1㎜を特殊コーティング。
・専用鋼板とシートは熱溶着で固定。
〇ポリオレフィン両面テープ
・専用鋼板と躯体のすき間を強固に埋め、経年劣化が少なく、剥離しない。
・ドリルで穿孔しても、穴径は広がらない。
 
●立上がりのアゴがある場合
・既存アゴ下防水層を撤去せず、アゴ下下地調整材を埋設する。
・既存防水層を撤去しないため、工事中の仮防水下での降雨による漏水リスクを回避できる。
 
●溶着部
・熱溶着で均一に溶着させ、ジョイント部のシートを完全に一体化させる。
・一般的な施工方法である接着剤を使用しないため、接着剤の経年劣化によるジョイント部の剥離が少なく漏水の心配がない。
バリューズ工法
※バリューズ | ダイフレックス シーカ・ジャパン株式会社
 
(1)概要
 
・単独で防水層になる改質アスファルトシートと高い耐久性を持つ超速硬化ウレタンとの複合工法。
・資格者(マイスター)による施工、検査等の徹底した品質管理により保険付(信用+賠償責任保険)を実現。
・保証期間中の漏水、施工業者の倒産など、万一の事態にも大手保険会社のバックアップにより長期間防水層の品質が保証される。
 
(2)施工方法
 
●通気緩衝工法の場合の層構成
④トップコート(ASトップ・ゼロ・HGコート)
・30年保証の場合、10年毎にトップコートの塗り替えが必要。
③超速硬化ウレタン(プラマックス 500・150)
②改質アスファルトシート(PASシート2000)
①クロロプレン系接着剤(DF ボンド W)
 
●機械的固定工法の場合の層構成
③トップコート(ASトップ・ゼロ・HGコート)
・30年保証の場合、10年毎にトップコートの塗り替えが必要。
②超速硬化ウレタン(プラマックス 500・150)
①改質アスファルトシート(ランスロックシート2000)
・専用アンカーピン
 
●機械的固定外断熱工法の場合の層構成
④トップコート ( 高反射色 )(ASトップ・ゼロ・HGコート)
・30年保証の場合、10年毎にトップコートの塗り替えが必要。
③超速硬化ウレタン(プラマックス 500・150)
②改質アスファルトシート(ランスロックシート2000)
・専用アンカーピン
①断熱材
 
(3)防水層品質管理システム
 
1)10年保証の場合
 
●機械化施工
・超速硬化ウレタンは専用機械で圧送され吹き付けられるが、その際の圧送は、ピストン運動によるもので、ピストンが一往復する際の吐出量は常に一定。この往復回数をカウンターで確認することにより吐出量を管理。
●目視確認
・濃淡模様をデザインした改質アスファルトシートの上に、光透過性(透明性)のある超速硬化ウレタン『プラマックス』を吹き付けることで模様の透け具合が変化。この透け具合を目安に吹き付け施エできるため、より均一な膜厚を確保できる。
●非破壊式膜厚検査
・施工面に吹き付けたウレタン防水材が硬化後、非破壊式膜厚計を用いて膜厚が確保できているか確認。
・測定対象となるのが超速硬化ウレタン『プラマックス』であるため、吹き付け直後に測定可能。万一、膜厚が足りない部分が確認された場合でもその場で増し吹きして是正。
※通常は入針式膜厚計で測定するのが一般的だが、この方法ではせっかく築いた防水層に穴を開けることになり問題視する声も出ていた。
 
2)15年保証の場合
 
●ピンホール検査
・ピンホール検査の実施により施工面の小さな不具合も検出。
 
3)30年保証の場合
 
●トップコートの塗り替え条件
・10年または15年
●流量管理
●定期点検
ガムシステム
※田島ルーフィング ガムシステム 高耐久アスファルト防水長寿命システム
 
(1)概要
 
・”再生改修”をベースにした新システム。
※再生改修:既存防水層上に、同じアスファルト防水を重ね一体化させることで、既存層の残存寿命を活用し、防水機能を受け継ぐ。
・40~50年の間、防水機能をリーズナブルかつ健全に維持するために2回目の改修までをシステム化。
・日常メンテナンス、改修時により改修が容易なものを採用。
・最大限の省エネ効果を発揮するため断熱を遮熱を組み合わせたサーモコントロール断熱を標準仕様として採用。
 
(2)施工方法
 
●概要
①1回目改修
・断熱工法を標準採用。
 
②2回目改修
・再生改修工法を採用することにより、1層改修で高い耐用年数を実現。
 
●1回目改修の工法
 
〇GUS-200A/B(機械的固定工法)
④保護塗料(SPサーモコート)
・高耐久・高反射厚膜水性保護塗料
③改質アスファルト仕上げシート(GSルーフキャップ)
・厚さ4㎜
②絶縁通気用下貼改質アスファルトシート(GSルーフST)
・厚さ:2.3㎜
①断熱材(GIボードW)
・硬質ウレタンフォーム
・アンカーとディスクを用いて固定
 
〇GUF-200A/B(接着工法)
⑤保護塗料(SPサーモコート)
・高耐久・高反射厚膜水性保護塗料
④改質アスファルト仕上げシート(GSルーフキャップ)
・厚さ4㎜
③絶縁通気用下貼改質アスファルトシート(GSルーフST)
・厚さ:2.3㎜
②断熱材(ギルフォームA)
・硬質ウレタンフォーム
・専用接着剤(レイコーセメント)にて固定
①リベース
・既存アスファルト防水層を活性化する下地処理材
 
●2回目改修の工法
 
〇GUF-1A/B
③保護塗料(SPサーモコート)
・高耐久・高反射厚膜水性保護塗料
②改質アスファルト仕上げシート(GSルーフキャップ)
・厚さ4㎜
①リベース
・既存アスファルト防水層を活性化する下地処理材
 
(3)ガムシステムのプラン
 
1)40年耐用システム(G-3)
 
①1回目改修:断熱工法(GUS-200B、GUF-200B)
②2回目改修(20~25年):再生改修(GUF-1B)
 
2)45年耐用システム(G-2)
 
①1回目改修:断熱工法(GUS-200B、GUF-200B)
②2回目改修(20~25年):再生改修(GUF-1A)
③サーモコートメンテナンス(10年後):保護塗料塗布
 
3)50年耐用システム(G-1)
 
①1回目改修:断熱工法(GUS-200A、GUF-200A)
②サーモコートメンテナンス(10年後):保護塗料塗布
③2回目改修(20~30年):再生改修(GUF-1A)
④サーモコートメンテナンス(10年後):保護塗料塗布

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