防火地域、準防火地域、法22条区域の制限

〇建築基準法:条、条
〇過去問
・管理業務主任者 
・マンション管理士 
 
 
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防火地域、準防火地域、法22条区域
●防火地域
・駅前や商店街など、大規模な商業施設があり、人や交通量が多い地域。
・地震などの災害時に、緊急車両の通行を確保しなければならない、主要幹線道路沿いの地域。
 
●準防火地域
・住宅などの建物が密集していて、火災時に危険度の高い地域。
 
●法22条区域
・周辺の火害による火の粉で火災が広がるのを防ぐため、特定行政庁が指定する区域。
※都市計画によって定められた区域ではない。
防火地域、準防火地域の建築制限
1)概要
 
・防火or準防火地域内においては、特殊建築物以外の建築物であっても、市街地における火災の危険性が大きいことから、一定規模以上の建築物について、”階数”及び”延べ面積”に応じ、その主要構造部に一定の性能(非損傷性・遮熱性・遮炎性)を要求している。
 
●H30年改正後
・防火or準防火地域において、耐火構造等とした場合と同等に周囲への延焼リスクを低減することができる建築物は耐火建築物等としなくとも良いこととする。
・防火or準防火地域内において高い延焼防止性能が求められる建築物についても、内部の壁・柱等において更なる木材利用が可能となるよう基準を見直し。
・防火or準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火設備を設け、かつ、壁、柱、床その他の建築物の部分及び当該防火設備が通常の火災による周囲への延焼を防止するために必要な性能を有していればよいこととした。
・外壁や窓の防火性能を高めることにより、内部の柱等に木材を利用できる設計が可能となった。
 
〇延焼リスクの低減
・外殻(外壁・開口部)の性能向上
・内部の防火区画設置による性能向上
 
●防火地域
・原則として3階建て以上or100m2超の建築物は、耐火建築物等であること。(火災発生の抑制、火災が発生した場合の延焼遮断、市街地大火の抑制)
・大地震後の放任火災を想定し、市街地火災の防止や、市街地火災が発生した場合の延焼の遮断を図るため、小規模なものを除き、全ての建築物を耐火建築物等とすることを義務付け。
 
●準防火地域
・延べ面積、階数に応じて、必要な防耐火性能を確保できる構造とすること。(市街地大火の抑制)
・大地震後の放任火災で市街地火災が発生した場合に広域避難に支障を及ぼすことがないよう、延焼速度を抑制するため、建築物の規模に応じて制限。
・ただし、一般的な木造住宅(2階建以下の戸建て住宅等)は許容。
 
2)防火地域、準防火地域内における共通の規制
 
●外壁の開口部で延焼のおそれのある部分
・防火戸その他の政令で定める防火設備を設けなければならない。
 
●屋根(法62条、令136条の2の2)
・周辺の火災による火の粉により、以下を発生しないこと。
 ・防火上有害な発炎をしない。
 ・屋内に達する防火上有害な溶融、亀裂などの損傷を生じない。
〇適合仕様(平12建告1365号)
①不燃材料で造るか葺く
・桟瓦葺き、スレート葺き、金属板葺きなど
②屋根を準耐火構造とする
・屋外に面する部分を準不燃材料で造る。
・屋内・屋外合わせて:準耐火構造
③屋根を耐火構造とする
・屋外に面する部分を準不燃材料で造る。かつ、その勾配が水平面から30度以内のもの。
・耐火構造の屋根の屋外面に断熱材および防水材を張ったもの。
 
●高さ2m超の門・塀(令136条の2、令元年国交告194号)
〇H30年改正前
・着火そのものを防止するため、不燃材料とすることが義務付けられている。
→京都、倉敷などの古い街並みが残る都市においては、既存の住宅を建て替える場合、景観を維持するために木材を使用した門・塀だけでも残そうとする場合があるが、この場合、本体建築物の建替えに合わせて、既存不適格となっている門・塀も不燃材料とすることが必要となり、対応が困難となる。
 
〇H30年改正後
・防火地域・準防火地域における2m超の門・塀についても、周囲への延焼を助長しない構造の場合は、不燃材料としなくとも良いこととする。
 ・道に面する部分を厚さ24㎜以上の木材で造る
 ・土塗真壁構造で塗厚さが30mm以上(塀の場合)
・土塗り壁など不燃性の下地の上を木材(板、焼杉など)で仕上げるなど、下地の性能に応じた構造が可能となる
 
●隣地境界線に接する外壁(法63条)
・外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。
 
●看板等の防火措置(法64条)(防火地域のみ)
・”防火地域内”にある看板、広告塔、装飾塔その他これらに類する工作物で、
 建築物の屋上に設けるもの、又は、
 高さ3mを超えるものは、
その主要な部分を不燃材料で造り、又はおおわなければならない。
注)
・準防火地域内であれば該当しない。
・屋上に設けるものについては3mという制限がない。
 
●建築物が防火地域又は準防火地域の内外にわたる場合の措置(法65条)
・原則として、制限の厳しい方の地域の規定が適用される。
・防火or準防火地域と無指定区域にわたる場合:防火or準防火地域の規制
・防火地域と準防火地域にわたる場合:防火地域の規制
 
〇防火壁で区画されている場合
・この場合防火壁で延焼が止まるので、防火壁外の部分は緩い方の規制が適用されることになり例外になる。
延焼防止時間を考慮した建築物
1)”延焼防止建築物”:耐火建築物に代わる準耐火構造建築物(令136条の2第1号ロ)  
●階数、延べ面積
・階数:3以下(地階を除く)
・延べ面積:3,000m2以下
 
●共同住宅の場合
・主要構造部:1時間準耐火構造
・外壁・屋根の軒裏:90分間準耐火構造
・屋根(軒裏を除く)、階段:準耐火構造
・外壁開口部設備:防火設備
注)延べ面積が100m2超の場合
以下のa,bを満たす必要がある。
a)床面積の合計が100m2以内ごとに”1時間準耐火構造の床or壁”or特定防火設備、のいずれかで区画する。
b)区画された部分ごとに、自動式スプリンクラー設備などを設ける。
 
2)”準延焼防止建築物”:準耐火建築物に代わる建築物(令136条の2第2号ロ)
 
●階数、延べ面積
・階数:3以下(地階を除く)
・延べ面積:500m2以下
 
●外壁
・防火構造又は屋内部分を12㎜厚以上のせっこうボード等も可。
 
●柱、はり
・小径が12㎝以上の木材を使用することも可。
 
●床
・準不燃材料で造る。
・3階の床orその直下の天井の構造が、加熱開始後30分間、変形・溶融・亀裂その他の損傷を生じないもの。
 
●軒裏
・防火構造
 
●外壁開口部設備
・20分間防火設備(片面遮炎)
防火地域内の規制(法61条)
①階数が3以上(地階を含む)or延べ面積が100m2超
・耐火建築物
・条件を満たせば上記”延焼防止建築物”も可。
②それ以外
・準耐火建築物
・条件を満たせば上記”準延焼防止建築物”も可。
準防火地域内の規制(法61条)
①階数が4以上(地階を含まない)or延べ面積が1,500m2越
・耐火建築物
・条件を満たせば上記”延焼防止建築物”も可。
②”階数(地階を含まない)が3で延べ面積1,500m2以下”or”階数2以下で延べ面積500~1,500m2″
・準耐火建築物
・条件を満たせば上記”準延焼防止建築物”も可。
③それ以外
〇木造
・外壁および軒裏の延焼のおそれのある部分:防火構造。
・外壁開口部設備:20分間防火設備(片面遮炎)。
〇非木造
・外壁開口部設備:20分間防火設備(片面遮炎)。
法22条区域の建築制限
1)屋根の制限(法22条)
 
・周辺の通常の火災による火の粉により、以下を発生しないこと。
 ・防火上有害な発炎をしない。
 ・屋内に達する防火上有害な溶融、亀裂などの損傷を生じない。
注)屋根は、防火or準防火地域の仕様と同じ。
 
〇適用の除外
・茶室、あずま屋など
・延べ面積が10m2以内の物置、納屋
 
2)延焼のおそれのある部分に該当する外壁・軒裏
 
a)特殊建築物(学校、観覧場、共同住宅(2階建・200㎡超)などに限る)、延べ面積1,000㎡超の木造建築物
→防火構造
b)上記以外
→準防火構造
 
●準防火性能
・法22条区域内の建築物において、外壁の延焼のおそれのある部分に求められる性能。
・外壁(耐力壁):加熱開始後20分間、構造耐力上支障のある変形・溶融・破壊その他の損傷を生じない。
・外壁(非耐力壁):加熱開始後20分間、加熱面以外の面(屋内に面するものに限る)が、可燃物燃焼温度以上に上昇しないもの。
※”防火性能”の場合は、上記の加熱開始後の時間が30分間。
 
3)延焼のおそれのある部分に該当する外壁開口部
 
・特別の規定なし
※準防火地域内とは異なる。
特定防災街区整備地区(67条)
〇原則
・特定防災街区整備地区内にある建築物は、耐火建築物等または準耐火建築物等としなければならない。
 
〇例外
一)延べ面積が50m2以内の平家建ての附属建築物で、外壁及び軒裏が防火構造のもの
二)卸売市場の上家、機械製作工場その他これらと同等以上に火災の発生のおそれが少ない用途に供する建築物で、主要構造部が不燃材料で造られたものその他これに類する構造のもの
三)高さ2mを超える門又は塀で、不燃材料で造られ、又は覆われたもの
四)高さ2m以下の門又は塀

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