集団規定 容積率、建ぺい率

〇建築基準法:52~54条
〇過去問
・管理業務主任者 H19問18、H28問17
・マンション管理士 H17問22、H18問20
 
 
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面積に関する用語
〇床面積(令2条)
・建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。
※バルコニーは2m幅分は算入しない。
外気に有効に開放されているバルコニー・吹きさらしの廊下などは、手摺の中心線から内側に2mの範囲は床面積に算入しない。
 
〇延べ面積(令2条)
・建築物の各階の床面積の合計による。
・ただし、法第52条第1項に規定する延べ面積には、自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む。)の用途に供する部分の床面積を算入しない。
 
〇建築面積(令2条)
・建築物の外壁又はこれに代わる柱の中心線(軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもので当該中心線から水平距離1m以上突き出たものがある場合においては、その端から水平距離1m後退した線)で囲まれた部分の水平投影面積による。
 
・建物に上から光を当てたときの影になる部分の面積(水平投影面積)で、おおむね1階部分の床面積となる。
・1m以上突き出たものがある場合は、その端から1m後退した線で囲まれた部分まで算入。
・建築面積は、建築物の外壁又はこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積によるが、地階で地盤面上”1m”以下にある部分は除かれている。
容積率の制限(52条)
1)容積率制限の目的
 
〇容積率とは?
・容積率は延べ面積の敷地面積に対する割合のこと。
 
〇制限する目的
・市街地における敷地面積と延べ面積の割合を定めて、その環境を保全すること。
→日照・通風の確保、市街地の混雑緩和など。
 
2)容積率の制限
 
・容積率は、以下に示す①指定容積率と②道路容積率の2つを比較し、いずれか厳しい方を適用する。
 
①指定容積率(第1項1号~4号、6号)
・容積率は、すべて都市計画で定められ、同じ用途地域でも地域によって異なる。
・用途地域の指定のない区域内の建築物の容積率は、一定の数値のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの以下でなければならない。
 
〇高層住居誘導地区(第1項5号)
・マンションなどを都心部に誘導するのが、高層住居誘導地区(都市計画法)。
・高層住居誘導地区内の建築物で住居部分が2/3以上あるところは、指定容積率の”1.5倍”以下の範囲で容積率を緩和する。
 
②道路容積率(第2項)
・延べ面積が大きい建物が増える
→人の出入りが多くなる
→道路等の公共施設の整備が追いつかなくなる場合がある
→容積率の制限が必要。
・すべての場合に前面道路から容積率が制限されるわけではなく、前面道路の幅員が”12m未満”の場合だけ。
・12m未満の道路にしか接していない土地は、指定容積率と前面道路からの容積率の2つの容積率が出ることになり、2つの容積率が出る場合は、小さいほうの容積率を採用する。
・前面道路が2以上あるときは、広い方の道路の幅員を使用。
 
〇道路容積率の出し方
①住居系の用途地域の場合:道路の幅員に4/10を掛ける
②住居系以外の用途地域の場合:道路の幅員に6/10を掛ける
 
3)容積率の緩和措置
 
〇建築物の地階(第3項)
・建築物の地階でその天井が地盤面からの高さ1m以下にあるものの住宅の用途に供する部分の床面積(当該床面積が当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の1/3を超える場合においては、当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の1/3)は、算入しないものとする。
※建築物の地階の場合、住居部分の”1/3″を限度に容積率が緩和される。事務所は対象外。
 
〇共同住宅の共用の廊下又は階段(第6項)
・”昇降機の昇降路”、”共同住宅の共用の廊下若しくは階段”の部分は算入しない。
・”廊下”と”階段”は共同住宅に限定されるが、”昇降機の昇降路”は用途は問わない。
①昇降機の昇降路(用途は問わない)
②共同住宅の共用の廊下
③共同住宅の階段
 
〇備蓄倉庫(令2条1項4号ロ、3項)
・建築物の容積率を算定する際の延べ面積には、当該敷地内の建築物の各階の床面積の合計(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、それらの建築物の各階の床面積の合計の和)に”50分”の1を乗じて得た面積を限度として、専ら防災のために設ける備蓄倉庫の用途に供する部分の床面積を算入しない。
 
〇駐車場・駐輪場の緩和(令2条1項4号ただし書き、同条3項)
・自動車車庫等の床面積は、その敷地内の建築物の各階の床面積の合計(延べ面積)の1/5を限度として延べ面積に算入せず緩和される。
注1)上記緩和の条例は自動車車庫等の床面積の限度ではない。従って1/5を超えた場合は超えた部分の床面積を容積率算定用延べ面積に算入しなければならない。
注2)当該敷地内に2以上の建築物がある場合は、各建築物の床面積の合計となる。
 
〇複数の区域にわたる場合(7項)
・加重平均主義といわれるもので、それぞれ土地の面積に応じて按分して容積率を決める。最も低い地域の容積率が適用されるわけではない。
 
〇周囲に広い公園、広場、道路その他の空地(8項)
・その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの容積率は、その許可の範囲内において、これらの規定による限度を超えるものとすることができる。
 
〇特定道路(第9項)
・直接大きな道路に接してはいないが、大きな道路から少し脇道に入った道路でも、一定の容積率の緩和措置がある。
→建築物の前面道路が、幅員15m以上の”特定道路”に接続する幅員6m以上12m未満の道路であり、建築物の敷地が、その特定道路から70m以内である場合は、その距離に応じて、容積率が緩和される。
建ぺい率の制限(53条)
1)建ぺい率を制限する目的
 
〇建ぺい率とは?
・建築物の建築面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、その建築面積の合計)の敷地面積に対する割合。
 
〇制限する目的
・自分の土地の敷地いっぱいに建物を建てると、採光も悪くなり、風通しもよくなく、火災等が起こったときに燃え広がりやすい。
・採光・通風・延焼防止等の観点から、建物は敷地に対して一定の割合でしか建てることができず、敷地に余裕を持たせてるように制限している。
・基本的には都市計画で決め、地域によって建ぺい率は異なる。
 
〇商業地域
・商業地域は8/10という数値で決まっている。
・商業地域の建ぺい率は都市計画で決まるのではなく、建築基準法で決まっている。
 
〇複数の区域にわたる場合
・それぞれの地域の建ぺい率に、その敷地の部分の面積比を乗じて得た合計値。
・それぞれの用途地域の部分の割合で建ぺい率を算出する。
 
2)建ぺい率の緩和措置
 
●防耐加算(第3項1号)
〇防火地域内の耐火建築物等
・防火地域内にある耐火建築物等については、建ぺい率は、指定建ぺい率に1/10が加算された数値を上限とする。
→建ぺい率には延焼防止という趣旨があるので、耐火建築物については、建ぺい率を緩和している。
・”建ぺい率の限度が8/10とされている地域”の場合は、建ぺい率の制限自体がなくなる。
 
〇準防火地域内の耐火建築物または準耐火建築物
・準防火地域にある耐火建築物または準耐火建築物についても、建ぺい率は、指定建ぺい率に1/10が加算された数値を上限とする。
 
●角地加算(第3項2号)
・”街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物”については、”定められた建ぺい率の数値に1/10″を加えることができる。
・角地の場合は、採光、通風、延焼防止という観点からはそのおそれが少ないから。
 
〇”角地加算”と”防耐加算”の両方の要件を満たす場合<br /> ・”建ぺい率の限度が8/10とされている地域外で、かつ、防火地域内にある耐火建築物を、特定行政庁の指定する角地”に建築する場合。
→両方の要件を満たしているので、それぞれ1/10ずつ建ぺい率を加算して、2/10が加算される。
 
3)建ぺい率の適用除外
 
・建物の建築面積が建ぺい率という観点からは制限されない。
→実際には、隣地との境界線との間に一定の間隔を空けるというような制限があって、常に敷地いっぱいに建物が建てられるとは限らないが、建ぺい率という観点から制限されることはない。
 
①建ぺい率の限度が8/10とされている地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物
②巡査派出所、公衆便所、公共用歩廊その他これらに類するもの
③公園、広場、道路、川その他これらに類するものの内にある建築物で特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したもの
建築物の敷地面積(53条の2)
●原則
・建築物の敷地面積は、都市計画において建築物の敷地面積が定められときは、その”最低限度”以上でなければならない。
 
〇例外
・以下の建築物の敷地については適用されない。
①建ぺい率の限度が8/10とされている地域で、防火地域内にある耐火建築物等。
②公衆便所、巡査派出所その他これらに類する建築物で公益上必要なもの。
③特定行政庁が許可したもの(建築審査会の同意が必要)
 
●敷地面積の最低限度
・都市計画において、建築物の敷地面積の最低限度を定める場合、その最低限度は、200m2を超えてはならない。
外壁の後退距離(54条)
〇規制対象の用途地域
・第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域内、田園住居地域
 
〇外壁の後退距離制限
・1.5mまたは1mの、どちらかを定めることができる。
・都市計画により定められた場合のみ、制限される。

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