集団規定 道路

〇建築基準法:41条の2~47条
〇過去問
・管理業務主任者 
・マンション管理士 
 
 
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集団規定の概要
●集団規定とは?
 
・規定の中には、建築物自身の安全や衛生について規定されている条文と、その建築物と都市との関係について規定されている条文がある。このうち、後者が集団規定。
・原則として都市計画区域および準都市計画区域内の建築物に適用される。
・集団規定に属する規定は、都市全体に何らかの影響を与えるものとされている。
・ほとんどの集団規定は、建築物の用途などにかかわらず同じものが適用される。
※用途によりその内容が大きく異なる単体規定と対照的。
 
●集団規定の例
〇建築物の用途に関する規定(用途規制)
・一戸建て住宅と騒音・悪臭を発生する工場とが混在することは、好ましいことではなく、用途規制によって制限する。
〇建築物の高さの制限(絶対高さ制限、斜線制限、日影規制)
・日影規制により、一定程度の日照を確保する。
・道路斜線制限は、道路上空に一定の開放空間を補償することで、通風、採光、延焼防止、防災などに役立てている。
〇建築物の大きさの制限(容積率、建ぺい率など)
・容積率や建ぺい率の規制は、都市の過密化を防ぎ、都市環境の改善、都市インフラに与える負荷の制御を行う。
〇敷地と道路の関係に関する規定(接道義務、2項道路の後退など)
〇その他、建築物と都市の関係に関する規定(排水に関する規定、景観に関する規定、など)
道路の定義(42条)
・一般に使われている公道・私道の区分とは別に、建築基準法では道路を次のように分類している。(道路法や道路交通法にいう道路とは必ずしも同じものではない。)
 
1)42条1項1号~5号に該当する道路
 
以下の各号のいずれかに該当する幅員4m(特定行政庁がその地方の気候、風土の特殊性、土地の状況により必要と認めて都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内においては、6m)以上のもの ①道路法による道路
・国道・県道・市道などの公道
②開発道路、事業道路
・都市計画法や土地区画整理法など一定の法律による道路
③昔から存在する既存道路
・建築基準法施行時(昭和25年11月23日)に既に存在していた道
・都市計画区域or準都市計画区域の指定・変更or68条の9第1項の規定に基づく条例の制定・改正によりこの章の規定が適用されるに至つた際現に存在する道
④計画道路
・道路法、都市計画法、土地区画整理法などの事業計画のある道路で、2年以内にその事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定したもの。
⑤位置指定道路(私道)
・土地を建築の敷地として利用するため、土地の所有者が新たに道路を築造し、特定行政庁から指定を受けたもの
 
2)42条2項道路(法42条2項)
 
・基準時(建築基準法施行時(昭和25年11月23日))現在既に建築物が立ち並んでいた幅員4m未満の道路で、特定行政庁が指定したもの。
・道路の中心線から2m(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内では3m)に後退した線を道路の境界線とみなす
→道路の中心線から2mは建物や塀などが建てられないことになる。私道負担。
 これは道路の中心線から2m両側が後退すれば、4mの幅が確保され、将来の道路の拡張に備えることができるから。
※この”道路”としての部分を確保しなければ、建築に必要な建築確認を受けられない。
・2項道路とされ、道路とみなされるためには”特定行政庁”の指定が必要。
→この後退すること又はその部分を一般に”セットバック”と呼んでいる。また、法律上一方的に道路とみなされるため”みなし道路”と呼ぶこともある。
※この部分は敷地面積に算入されない。
 
〇特定行政庁の指定が必要な”道路”
・計画道路
・位置指定道路
・42条2項道路
敷地等と道路との関係(43条)
●敷地と道路
・都市内で建築物を建築する場合、日常の社会経済活動や災害時の避難、日照・採光・通風といった建築物の環境を確保するために、建築物の敷地と道路の関係が重要。
・建築物の敷地は、原則として4m以上の幅員の道路に2m以上接していなければならない。
 
●接道義務
・建築物の敷地は、4m以上の道路(自動車専用道路は除く)に2m以上接しなければならない。
 
〇例外
・敷地が、幅員4m以上の道(建築基準法上の道路ではないが農道等公共の用に供する道)に2m以上接する建築物で、”利用者が少数であるものとして”用途や規模に関し国土交通省令で定める基準に適合するもので、特定行政庁が交通上、安全上、防火上、衛生上支障がないと認めるもの(建築審査会の同意は不要)。
・敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて”建築審査会の同意を得て許可”したもの
 
〇条例による接道規制
・火災などが発生した際に、建築物の用途や規模、位置などにより、前項(43条1項)の規定では避難が困難であると認めるときは、地方公共団体が、条例で接道規制を付加することができる。※緩和はできない。
・接道規制を付加できる建築物は以下のいずれかに該当するもの。
一)特殊建築物
二)階数が3以上である建築物
三)政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物
四)延べ面積が1,000m2を超える建築物
五)その敷地が袋路状道路(その一端のみが他の道路に接続したものをいう)にのみ接する建築物で、延べ面積が150m2を超えるもの(一戸建ての住宅を除く)
道路内の建築制限(44条)
〇原則
・建築物・擁壁は、道路内に、または道路内に突き出して建築・築造不可。
 
〇例外
一)地盤面下に設ける建築物
二)公衆便所、巡査派出所その他これらに類する公益上必要な建築物で特定行政庁が許可したもの。
※建築審査会の同意が必要。
三)一定の道路の上空又は路面下に設ける建築物。
※特定行政庁が認めるもの
四)公共用歩廊(アーケード)等で特定行政庁が許可したもの
※建築審査会の同意が必要。
私道の変更・廃止の制限(45条)
〇原則
・私道の変更・廃止は、自由。
 
〇例外
・私道の変更・廃止によつて、接道規定等に抵触することとなる場合においては、特定行政庁は、その私道の変更・廃止を禁止・制限することができる。
壁面線制限(46,47条)
●壁面線の指定(46条)
・特定行政庁は、街区内における建築物の位置を整えその環境の向上を図るために必要があると認める場合においては、建築審査会の同意を得て、壁面線を指定することができる。
・この場合においては、あらかじめ、その指定に利害関係を有する者の出頭を求めて公開による意見の聴取を行わなければならない。
 
●壁面線による建築制限(47条)
・建築物の壁・柱、高さ2m超の門・塀は、壁面線を越えて建築してはならない。
・ただし、地盤面下の部分又は特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可した歩廊の柱その他これに類するものについては、この限りでない。

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