集団規定 高さの制限

〇建築基準法:55~56条の2
〇過去問
・管理業務主任者 
・マンション管理士 
 
 
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高さ制限の概要
●高さ制限の目的
・道路や隣地の日照・通風・採光を確保。
・日影規制は、北側の隣地等落ちる日影の量を、より直接的に時間で制限する。
 
●適用区域
①絶対高さ制限
・低層住居専用地域、田園住居地域
②道路斜線制限
・都市計画区域及び準都市計画区域内のすべての地域・区域
③隣地斜線制限
・低層住居専用地域、田園住居地域以外
④北側斜線制限
・低層住居専用地域、田園住居地域、中高層住居専用地域
⑤日影規制
・条例で、指定する区域について適用される。
・商業・工業・工業専用地域には、日影規制の規制対象区域は指定されない。
絶対高さ制限(55条)
〇規制対象の用途地域
・第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域内、田園住居地域
 
〇規制内容
・建築物の高さは、10m又は12mのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。
・都市計画で必ず定められる。
 
〇例外規定
①その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物であつて、低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めて特定行政庁が許可したもの
②学校その他の建築物であつて、その用途によつてやむを得ないと認めて特定行政庁が許可したもの
 
〇建築物の高さの算定(令2条1項6)
・地盤面からの高さによるが、階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分の水平投影面積の合計が当該建築物の建築面積の1/8以内の場合においては、その部分の高さは、12mまでは、当該建築物の高さに算入しない。
・棟飾、防火壁の屋上突出部その他これらに類する屋上突出物は、当該建築物の高さに算入しない。
斜線制限(56条)
●建築物の各部分の高さ、斜線制限
 
・建築物を真横から見たとき、空間を斜線で切り取ったような形態に制限することから、斜線制限と呼ばれる。通風、採光等を確保し、良好な環境を保つことが目的。
 ある一定の角度や、一定の高さから斜線を引いて、その斜線から飛び出さないように建物を建てる必要がある。
 
1)道路斜線制限
 
・道路の上の空間を確保することによって、採光、通風等の確保。
 
〇規制対象の地域
・採光や通風はすべての地域で確保されるべきなので、都市計画区域及び準都市計画区域内すべてに適用される。
 
〇規制内容
・建築物の各部分の高さは、前面道路の反対側の境界線からの水平距離に1.25または1.5を乗じて得たもの以下にする必要がある。
※住居系:1.25or1.5、その他の地域:1.5
 
2)隣地斜線制限
 
・道路側の採光・通風等の確保が上記の道路斜線制限であるのに対し、道路と反対側の隣地との関係でも採光・通風等の確保についての規定が隣地斜線制限。
 
〇規制対象の地域
・低層住居専用地域、田園住居地域以外
→隣地斜線制限は、30m又は21mの高さから一定の斜線を引くものだが、上記地域は、10m又は12mという絶対的な高さ制限があるので不要となる。
 
〇規制内容
・建築物の各部分の高さは、隣地境界線までの水平距離に1.25または2.5を乗じて得たものに20mまたは31mを加えた数値以下。
※住居系:20or31m、その他の低域:31m
 
3)北側斜線制限
 
・日照保護という観点の規制。
 
〇規制対象の地域
・低層住居専用地域、田園住居地域、中高層住居専用地域
・第一種・第二種中高層住居専用地域については、日影規制の適用がある場合は、北側斜線制限は適用されない。日影規制により日照が保護されているため。(第一種・第二種中高層住居専用地域は、マンションなどを建てるところで、規制が多くなるといマンションが建てにくくなってしまう、という側面もある)
 
〇規制内容
・建築物の各部分の高さは、北側の隣地境界線までの水平距離に1.25を乗じて得たものに5mまたは10mを加えた数値以下。
※低層・田園系:5m、中高層系:10m
 
4)複数の区域にわたる場合
 
・敷地が複数の用途地域にまたがる場合には、過半主義ではなく、それぞれの”建物の部分”について適用される。
例)第一種低層住居専用地域内の建物の部分については、第一種低層住居専用地域としての規制が、第二種住居地域内の建物の部分については第二種住居地域についての規制がバラバラに適用される。
 
5)各制限の緩和
 
以下の場合などは、各斜線制限は緩和されて適用される。
・建築物の敷地が、公園、広場、川、海などに接する場合
・敷地とこれに接する道路・隣地との高低の差が著しい場合。
 
6)天空率による斜線制限
 
・斜線制限の規定を適用することにより確保される採光・通風などと同等以上の採光・通風などを確保できる一定の建築物については、斜線制限を適用しない、とすることができる。
→一般的な斜線制限の規定を適用した場合よりも大きい”天空率”を示す建築物については、全天に対して当該建物が占める割合が小さく、よく”空”を確保している以上、斜線制限の規定を適用する必要がない。
 
〇天空率とは
・建物を天空に正射影した場合の、全天に対する空の面積の割合。
日影規制(56条の2)
・建築物が隣地等に落とす日影の量を規制することにより、間接的に建築物の高さを制限して、北側の隣地の等の日照を確保するための規制。
 
〇規制の内容
・地方公共団体が条例で指定する区域(規制対象区域)内にある一定の建築物(規制対象建築物)は、北側の敷地等に、冬至日の真太陽時における午前8時から午後4時までの間を基準とする、一定時間以上の日影を生じてはならない。
・生じさせてはならな日影時間は、地方公共団体が、条例で指定する。
 
〇適用される用途地域
・住居系用途地域+近隣商業地域+準工業地域と用途地域の指定のない地域のうち、地方公共団体で日影規制が適用される旨の条例のある地域内において適用される。
・商業地域、工業地域、工業専用地域では基本的に日影規制の適用がない。
 
〇対象となる建築物
①第一種・第二種低層住居専用地域
・”軒高7mを超える建築物又は地階を除く階数が3以上の建築物”
・階数については、地階は含まれない。(通常の階数の扱いと異なるので注意)
②それ以外の用途地域
・”高さが10mを超える建築物”
③用途地域の指定のない区域
・区域により”軒高7mを超える建築物又は地階を除く階数が3以上の建築物”と”高さが10mを超える建築物”がある。
 
〇緩和措置
・建築物の敷地が道路、川又は海その他これらに類するものに接する場合、建築物の敷地とこれに接する隣地との高低差が著しい場合その他これらに類する特別の事情がある場合は、日影規制の緩和の措置がある。
 
〇対象区域外の建築物(第4項)
・日影規制の対象区域以外の地域であっても、冬至日に日影規制の適用区域に日影を生じさせる建物で、高さが10mを超える場合は、日影規制が適用される。

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