家賃保証会社の概要

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家賃保証会社とは
1)家賃保証会社とは
 
・賃貸住宅の契約時や公営住宅の入居時に必要な賃借人の連帯保証人を代行する会社。
・不動産賃借人との間で保証委託契約を締結する会社。
・連帯保証人に代わって賃借人が滞納した家賃の支払いを一時的に引き受け、連帯保証人と同様に家賃を立て替える。賃借人は家賃保証会社へ返済することになる。
 
2)家賃保証会社の沿革
 
・家賃保証会社は賃貸物件の契約時に”連帯保証人”を用意できない借主のための保証制度として始まったもの。
・2007年のリーマン・ショック以降に不況の影響で家賃滞納者が続出したことに端を発し、賃貸住宅の貸主や不動産仲介業者の間で家賃保証会社が普及していった。
・さらには当初の家賃保証業務に加え、貸主および賃貸不動産管理業者の家賃回収業務のアウトソーシングにも業務を拡大するようになった。
 
〇2020年の民法改正
・不動産賃貸契約では個人連帯保証人から家賃保証会社の利用への移行が進み、家賃保証会社の利用を必須とする契約形態が増加している。
 
3)契約形態の種類
 
①一般保証型
・借主が家賃を滞納してしまった場合に、保証会社が貸主に弁済し、その後保証会社が借主に弁済金を請求する。
 
②支払委託型
・借主からの委託に基づき、滞納時でなくとも保証会社が毎月貸主に家賃を支払い、立替金を請求する。
家賃保証会社の状況
(1)一般的なサービス内容
 
〇保証料
・初回時月額賃料の50%、以後一年毎に1万円と設定している事業者が多い。
 
○保証対象
・家賃滞納、原状回復費用、訴訟費用、残置物撤去費用等が多く、事業者により異なる。
 
〇保証期間
・賃貸契約終了まで
 
(2)家賃債務保証会社の規模、経営状況
 
第1回 家賃債務保証の情報提供等に関する検討会 (資料4-1)家賃債務保証の現状について
 
1)家賃債務保証会社の規模、経営状況
 
●従業員数
・全従業員数は”10人以下”が最も多く全体の約4割となっているが、”300人超”の会社も全体の約1割存在している。
・全従業員のうち、家賃債務保証業に従事している従業員数についても、”10人以下”が最も多く全体の約5割となっている。
 
●経営状況
・資本金は”3百万円超~1千万円”が最も多く、1千万円以下で全体の約3割となっている。
・純資産額は”5億円超”が最も多い。
・家賃債務保証事業の売上高は”1億円以下”が最も多く全体の約4割となっている。
・営業利益は”0円超~1千万円”が最も多く5千万円以下が全体の約6割となっている。
 
2)家賃債務保証会社の業務内容
 
〇専業か兼業か(n=56)
・家賃債務保証業のみ:70%
・保証業以外の業務を行っている:30%
 
〇家賃債務保証業以外で行っている業務(n=17)
・貸金業:41%
・宅地建物取引業:29%
・不動産賃貸管理:24%
・保険代理店:24%
・不動産賃貸(サブリース含む):18%
・クレジットカード業:18%
・リフォーム:12%
・物品販売・レンタル:12%
・分譲マンション管理:6%
 
(3)家賃保証に関する相談等の状況
 
・家賃債務保証に関して、全国の消費生活センター等に寄せられた相談件数は高止まり。
・相談内容の例として、過大・不明瞭な請求や、契約・説明、事業者の倒産などがある。
 
○過大・不明瞭な請求
・身に覚えのない保証会社からの請求(説明を求めても根拠が示されない)
・不明瞭な請求(求償の内訳が不明瞭)
・過大な手数料を請求された(法定された年率14.6%超)
 
○契約・説明
・保証契約を結んだ覚えがない
・更新手数料について説明を受けていない。
 
○その他
・保証人がつけられないから保証会社を利用するのに、保証会社から保証人を求められた。
・滞納立替え分の返済を分割払いに応じてくれない。
・保証会社からの退去要請
・事業者の倒産
審査方法による分類、信用情報との関連
(1)入居者審査、信用情報利用における家賃保証会社の分類
 
〇信販系、消費者金融系
・入居者審査時に信用情報を利用。
 
〇団体系
・家賃保証会社が所属する団体(LICC=全国賃貸保証業協会)が共有する情報を元に審査。
 
〇独立系
・各保証会社の独自基準で審査
 
(2)信販会社とは
 
・販売信用を主な事業とする会社。
・商品の代金立て替えをはじめクレジットカードや各種ローンなどさまざまなサービスを行っている。
 
〇主なサービス内容
・個別信用購入あっせん:ショッピングローン、ショッピングクレジット
・包括信用購入あっせん:クレジットカード
・各種融資・ローン:カードローン、目的別ローン(自動車ローンや教育ローンなど)
・保証業務:銀行の融資に対する与信保証や代位弁済など
・決済保証:家賃決済保証や小口リース保証など
 
〇信販会社とクレジットカード会社の違い
・信販会社:クレジットカードを含むさまざまな信用取引を行っている。
・クレジットカード会社:基本的にクレジットカード業務のみであり、ローンや保証業務などは取り扱っていない。
※クレジットカードは複数の業種の企業が発行しており、その意味では信販会社は多くのクレジットカード会社のなかのひとつともいえる。
 
〇信販会社と貸金業者の違い
・信販会社の販売信用は商品やサービスの代金を立替払し、後から請求する形であり、金銭の貸付けを行う訳ではない。
・ただし、クレジットカードのキャッシングや各種ローンは貸金業に該当するため、貸金業の登録を受けている信販会社は多く存在する。
 
(3)信用情報の概要
 
1)信用情報とは
 
・個人の年収や住宅情報、勤務先等の属性情報、ローンや公共料金等の支払い情報のこと。
・割賦販売法では、”利用者又は購入者若しくは役務の提供を受ける者の支払能力に関する情報”と規定している。(第35条の3の41)
 
〇主な信用情報の内容
・クレジットやローンの契約内容
・金融事故情報として長期延滞、債務整理、代弁返済、強制解約などの記録
 
〇登録期間
・5年
 
2)信用機関による情報共有
 
・クレジットカードや消費者金融(個人への金貸し)の増加に伴い、他の業態(銀行と信販、消費者金融)との信用情報共有が課題となり、それぞれの信用情報機関を介して信用情報のうち、祖本的な部分を共有する仕組みとなっている。
・信用機関による情報共有は個人情報の保護に関する法律第23条の例外として許容される。
・総量規制により年収の1/3以上を借りているか確認する際にも利用される。
 
3)信用情報の種類
 
イ)個人を特定するための情報
・氏名、生年月日、自宅住所、自宅電話番号
・勤務先名とその住所、電話番号
・運転免許証番号や運転経歴証明書番号又は身分証明書書類の記号・番号
 
ロ)個人の属性情報
〇契約に係る情報
・契約内容についての情報:登録会社名、契約日、金額、形態、返済回数等
・返済状況についての情報(残高や該当月の支払・入金状況など)
※残高が0円でも、カードローンや貸付枠設定型の銀行ローンなどの枠付融資、クレジットカードで契約が成立している場合は、カードを解約するまで登録される。
・割賦情報 (CIC):年間支払見込額、割賦部分の支払状況
・金融情報 (CIC・JICC):キャッシング残高などが加盟会社からほぼリアルタイムで送信・更新される
〇延滞など金融事故に関わる情報
・”事故情報”、”異動情報(CIC)”などと言われるもの。
・借金を契約どおりに返済できなかったことを指し、具体的には、61日若しくは3ヶ月以上に及ぶ延滞、代位弁済、債務整理、手形等の不渡の発生等についての情報。
 
ハ)加盟会社による当該信用情報の使用履歴
・加盟会社・金融機関名、日時、信用情報の使用目的等が”申込情報”や”照会履歴”に一定期間登録される。
・新規にカード類や融資の申込には既存の契約状況を確認する為に必需で、成約後も必要に応じて「途上与信」として参照される。
・各機関すべて、6か月登録となっている。
 
二)本人申告情報・その他情報
・運転免許証や健康保険証などの本人確認書類を紛失した場合、悪意のある第三者がそれらを利用して消費者金融などへ融資申込を行う恐れがあるため、信用情報照会時に”本人確認書類紛失”などの情報を出す事によって、審査時に与信者へ注意を促す事が出来る。
・本人の買い癖などで過剰与信(年収の一定割合以上の与信枠(借入残高)がある等)に陥りやすいため、与信自粛を申告し、与信照会時に注意を促す事が出来る。
 
4)本人開示
 
・自分の信用情報がどのように登録されているのか確認したい場合、各信用情報機関の”本人開示制度”によって可能である。
 
(4)信用情報機関の概要
 
1)信用情報機関とは
 
・個人信用情報の収集及び提供を行う機関。
・法令に基づき指定された信用情報機関を指定信用情報機関という。
・個人に関する信用情報機関は、KSC=全国銀行個人信用情報センター、CIC=シー・アイ・シー(割賦販売法、貸金業の規制等に関する法律)、JICC=日本信用情報機構(貸金業の規制等に関する法律)の3社がある。
 
●全国銀行個人信用情報センター(KSC)
・全国銀行協会(全銀協)が運営する信用情報機関。
・保有する信用情報:アメリカンエキスプレス・インターナショナル日本支社など加盟する銀行系クレジットカードの情報、銀行など預金取扱金融機関での住宅ローンなどの個人向け融資の情報。
 
●シー・アイ・シー(CIC、CREDIT INFORMATION CENTER)
・各クレジットカード発行企業(含む信販会社)と、信用保証会社、自動車や機械等のローン・リース会社、移動体通信事業者、小売店などと、一部の消費者金融会社・銀行・労働金庫・農林中央金庫など、800社超の会社が加盟している。
 
●日本信用情報機構(JICC、Japan Credit Information Reference Center)
・貸金業法で定められた”指定信用情報機関”に指定。
 
2)信用情報機関による情報共有
 
●CRIN(CRedit Information Network)
・CIC・KSC・JICCの三者間で異動情報(事故)・申告情報が発生した際に、一定期間CRIN情報としてサーバに共有されるもの。
・三者のうちの1者で、何らかのCRIN情報が登録される事案が生じた場合、それを共有している他者の会員会社の与信照会時に新たな貸付や契約を阻止できるようにするもの。
・CRIN情報が登録されない限り、上記三者間で信用情報の共有はされていない。
 
●FINE(Financial Information Network)
・CICとJICC間で行われている交流ネットワークで、2010年6月の貸金業法改正にともなう総量規制に対応するもの。
・総量規制はキャッシングやローンなど、年収の3分の1以上の貸付を抑制するように定めているが、クレジットカード会社、消費者金融のみに限定され、銀行や信用金庫、労働金庫などの貸付は対象としていない。更に住宅、自動車ローン、ショッピングの代金も対象にならない。
・消費者金融の小規模な会社には、JICCのみに加盟しているところがあり、これらの会社がFINEを使用しCICの情報を参照し、貸付額が年収の3分の1を超えないようにしている。逆にCICのみに加盟している会社でも、FINEを使ってJICC加盟している消費者金融の情報を参照可能である。
・CRINより詳細な情報を交換しているとされていて、貸付金額、貸付残高や支払いの遅延情報なども交換している。
 
(5)全国賃貸保証業協会(LICC、Leasing Information Communicate Center)
 
・代位弁済情報(家賃情報)の収集、管理、提供、開示を取り扱う情報事業の運営等を通じて、賃貸住宅への入居手続きの円滑化・合理化並びに賃貸保証制度の健全な発展と普及に寄与することを目的とした家賃等弁済情報取扱機関。
 
●代位弁済情報(家賃情報)とは
・いつ登録するか:個人による居住用賃貸住宅の賃借を保証したとき。
・登録する情報:氏名、生年月日、旧住所、電話番号、免許証番号等の個人特定番号、保証対象物件名・部屋番号、保証対象物件住所、保証開始日、月額賃料、保証終了日、入金額、代位弁済残高など
・登録期間:保証委託契約の終了から5年間(滞納があった場合は債務が消滅して5年間)
 
●申込者からの同意を取得する事項
・氏名や賃料支払い状況等の個人情報を当協会に登録すること
・登録された個人情報を当協会の会員が利用すること
・登録される情報の範囲、登録期間等

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