マンションの給排水管の更正・更新工事の概要

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給排水管改修工事の注意点
1)更新と更正
 
・管を取り替える(更新)工事ではなく、今の管を延命させる更正工事という手法もある。
 代表的なものはライニング工法で、既存配管内のさびを砂などで研磨し、新たに管内内面をエポキシ樹脂でコーディングする。
・更正工法は、管を取り替える場合と比べて最小限の工事で済むので、工事日数が少なく、費用も低減できるメリットがある。
・既存配管をそのままで施工ができるため、専有部内の工事等にも活用されている。
・配管内のさびを削り取るサンドブラストなどに既存配管が耐えられることが必要。
 
●給水管、給湯管、排水管の優先順位
 
・配管の材質、水質などによって異なる。劣化診断によって判断。
・多くの場合、劣化が進んだ管から優先順位をつけて行うが、同じ場所に優先順位の低い管もある場合は、同時に工事することも検討する。
 
2)専有部と共有部
 
・配管について、管理規約に共用部分と専有部分の切り分けに関して明記されている。
 
●専有部内の工事
 
・専有部配管の更新をするためには、床をはがす、キッチン・ユニットバスを外すなどの大掛かりな工事が必要。
・共用立て配管の配管スペースに余裕がない場合等は、廊下等への露出配管になったりもする。
 
3)給水管・排水管の防露被覆工法
 
・保温材を被覆していた給水管を改修する際、耐久性能の高い高密度ポリエチレン管を給水立て管に使用する場合、防露被覆を設けなくても可能な場合がある。
・共用部の既存の硬質塩ビライニング鋼管を高密度ポリエチレン管に更新する場合、保温材を設けない事によってコスト低減がはかれる。
・樹脂管の場合、紫外線を避ける必要があり、屋外では露出配管とする事はできない。また、使用圧力に制限がある。
排水管改修の概要
・配管用炭素鋼鋼管の腐食劣化、塩化ビニル管の破損による改修などがある。
・塩化ビニル管が使われている場合でも、区画貫通部(コンクリート躯体貫通部)については、配管用炭素鋼鋼管等を使用している場合があり、その部分で錆、腐食が発生し漏水に至るケースも見られる。
・屋外排水管では、一斉取替えと事故修繕とが考えられる。配管の材質にもよるが経年による傷みよりも、事故によるものが多い。
・屋外埋設管の勾配不良・地盤沈下による漏水は事故修繕、又は、年次計画による修繕が一般的。
・更新工事が大半だが、雑排水管では配管の残存肉厚があれば、更生工事(ライニング工法等)も考えられる。
・汚水管、汚水ポンプ、汚水桝等も計画的に交換する。
・排水管の更新工事では、管及び継手を最新の材質のものへとグレードアップすることや、排水能力を高めることがポイント。
・排水システムの変更も検討事項となる。
給排水管の更正工法
給排水管の保温
(1)給排水管の保温工事
 
※参考
公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)
 
1)保温の種別
 
●給水管
①屋内露出(一般居室、廊下)
イ)ロックウール保温材
・保温筒→鉄線→合成樹脂製カバー1
ロ)グラスウール保温材
・保温筒→鉄線→合成樹脂製カバー1
ハ)ポリスチレンフォーム保温材
・保温筒→粘着テープ→合成樹脂製カバー1
 
②機械室、書庫、倉庫
イ)ロックウール保温材
・保温筒→鉄線→原紙→アルミガラスクロス
ロ)グラスウール保温材
・保温筒→鉄線→原紙→アルミガラスクロス
ハ)ポリスチレンフォーム保温材
・保温筒→粘着テープ→アルミガラスクロス
 
③天井内、パイプシャフト内、空隙壁中
イ)ロックウール保温材
・アルミガラスクロス化粧保温筒→アルミガラスクロス粘着テープ
ロ)グラスウール保温材
・アルミガラスクロス化粧保温筒→アルミガラスクロス粘着テープ
ハ)ポリスチレンフォーム保温材
・アルミガラスクロス化粧保温筒→アルミガラスクロス粘着テープ
 
④暗渠内、ピット内
ハ)ポリスチレンフォーム保温材
・保温筒→粘着テープ→ポリエチレンフィルム→着色アルミガラスクロス
 
⑤屋外露出(バルコニー、開放廊下を含む)、多湿箇所(浴室等)
ハ)ポリスチレンフォーム保温材
・保温筒→粘着テープ→ポリエチレンフィルム→ステンレス鋼板
※ステンレス鋼板の他にカラー亜鉛鉄板(塗装溶融亜鉛めっき鋼板)、溶融アルミニウム-亜鉛鉄板(ガルバリウム鋼板)もある。
 
●排水管
①屋内露出(一般居室、廊下)
・給水管と同様。
 
②機械室、書庫、倉庫
・給水管と同様。
 
③天井内、パイプシャフト内、空隙壁中
・給水管と同様。
 
④浴室、厨房等の多湿箇所
・給水管と同様。
 
●給湯管
①屋内露出(一般居室、廊下)
イ)ロックウール保温材
・保温筒→鉄線→合成樹脂製カバー1
ロ)グラスウール保温材
・保温筒→鉄線→合成樹脂製カバー1
 
②機械室、書庫、倉庫
イ)ロックウール保温材
・保温筒→鉄線→原紙→アルミガラスクロス
ロ)グラスウール保温材
・保温筒→鉄線→原紙→アルミガラスクロス
 
③天井内、パイプシャフト内、空隙壁中
イ)ロックウール保温材
・アルミガラスクロス化粧保温筒→アルミガラスクロス粘着テープ
ロ)グラスウール保温材
・アルミガラスクロス化粧保温筒→アルミガラスクロス粘着テープ
 
④暗渠内、ピット内
イ)ロックウール保温材
・保温筒→鉄線→ポリエチレンフィルム→着色アルミガラスクロス
ロ)グラスウール保温材
・保温筒→鉄線→ポリエチレンフィルム→着色アルミガラスクロス
 
⑤屋外露出(バルコニー、開放廊下を含む)、多湿箇所(浴室等)
イ)ロックウール保温材
・保温筒→鉄線→ポリエチレンフィルム→ステンレス鋼板
ロ)グラスウール保温材
・保温筒→鉄線→ポリエチレンフィルム→ステンレス鋼板
※ステンレス鋼板の他にカラー亜鉛鉄板(塗装溶融亜鉛めっき鋼板)、溶融アルミニウム-亜鉛鉄板(ガルバリウム鋼板)もある。
 
2)保温材、外装材
 
●保温材
〇アルミガラスクロス化粧保温筒
・保温筒の表面をアルミガラスクロスで被覆したもの。
 
●外装材
〇合成樹脂製カバー1(シートタイプ)
・合成樹脂を使用した難燃性の樹脂製カバーは、JIS A 1322(建築用薄物材料の難燃性試験方法)に規定する防炎2級に合格したもので板厚は、0.3mm以上とする。
 
〇アルミガラスクロス
・厚さ0.02㎜のアルミニウム箔に、JIS R 3414(ガラスクロス)に規定するEP11Eをアクリル系接着剤で接着させたものとし、管等に使用する場合は、適当な幅に裁断し、テープ状にしたものとする。
 
〇アルミガラスクロス粘着テープ
・アルミガラスクロスのガラスクロス面に粘着剤を粘着加工し、剥離紙をもってその粘着力を保持したものとし、JIS Z 0237(粘着テープ・粘着シート試験方法)による粘着力1.5N/10mm以上のものとする。
 
〇着色アルミガラスクロス
・アルミガラスクロスの表面にアクリル系塗料を焼付塗装(焼付温度240℃以上、着色塗布量4g/㎡以上)したもの。
 
3)施工方法
 
●ポリスチレンフォーム保温筒
・合わせ目を全て粘着テープで止め、継目は、粘着テープ2回巻きとする。
・継目間隔が600 ㎜以上1,000 ㎜以下の場合は、中間に1箇所粘着テープ2回巻きを行う。
 
●鉄線巻き
〇帯状材の場合
・50㎜ピッチ以下にらせん巻き締め
〇筒状材の場合
・1本につき2 箇所以上、2巻き締め。
〇アルミガラスクロス化粧保温筒
・合わせ目及び継目を全てアルミガラスクロス粘着テープで貼り合わせ、筒は継目間隔が600 ㎜以上1,000 ㎜以下の場合は中間に1箇所アルミガラスクロス粘着テープ2回巻き。
 
●テープ巻きその他の重なり幅
・原則として、テープ状の場合は15 ㎜以上(ポリエチレンフィルムの場合は1/2重ね以上)、その他の場合は30 ㎜以上とする。
 
●テープ巻き
・配管の下方より上向きに巻き上げる。
・アルミガラスクロス巻き等で、ずれるおそれのある場合には、粘着テープ等を用いてずれ止めを行う。
 
●アルミガラスクロス化粧保温筒
・ワンタッチ式(縦方向の合わせ目に貼り合わせ用両面粘着テープを取付けたもの)の合わせ目は、接着面の汚れを十分に除去した後に貼合わせる。
 
●合成樹脂製カバー1の取付け
・重ね幅は25mm 以上とし、直管方向の合わせ目を両面テープで貼合せた後、150mm 以下のピッチで、合成樹脂製カバー用ピンで押さえる。
・立て管部は、下からカバーを取付け、ほこり溜まりの無いよう施工する。
 
●合成樹脂製カバー2の取付け
・合成樹脂製シート端部の差込みジョイナーに、ボタンパンチを差し込んで接合し、エルボ部分と直管部分の継目は、シーリングを行う。
・立て管部は、下からカバーを取付け、ほこり溜まりの無いよう施工する。
 
●金属板巻き
・管の場合ははぜ掛け又はボタンパンチはぜ、曲り部はえび状又は整形カバーとする。
 
●屋内露出の配管及びダクトの床貫通部
・その保温材保護のため、床面より少なくとも高さ150 ㎜までステンレス鋼板で被覆する。ただし、外装材にカラー亜鉛鉄板等の金属板を使用する場合を除く。
 
●屋内露出配管の保温見切り箇所
・菊座を取付ける。
 
(2)給水管の凍結防止(保温、仕上)
 
給水装置設計・施工基準(給水装置編)水の安全・衛生対策(逆流、水撃、凍結等)の”凍結防止(保温、仕上)“参照
防火区画の配管貫通処理
(1)防火区画の配管貫通処理の概要
 
●建築基準法の防火区画
・建築基準法で性能が定められている「所定の耐火性能を持った床又は壁」
〇主な対象建築物
・非住宅(学校・病院・工場・オフィスビル・ホテル等)
〇区画貫通部の規定(建築基準法施行令129条2の4第1項第七号)
以下のいずれかの構造方法を用いなければならない
イ)壁or床から両側1mを不燃材
・配管が貫通する隙間をモルタル等の不燃材料で埋め戻す。
ロ)貫通する配管(難燃材or塩ビ)の外径を規定未満とする。
ハ)性能規定
・耐火性能:20分間、45分間、最大60分間
・証明方法:国土交通大臣認定書
 
●共住区画
・特定共同住宅における「住戸等間の開口部のない耐火構造の床又は壁による区画
〇主な対象建築物
・マンション、公営住宅、寮等。
〇区画貫通部の規定(平成17年消防庁告示2号、4号)
以下のいずれかの構造方法を用いなければならない
イ)壁or床から両側1mを不燃材(建築基準法施行令129条2の4第1項第七号イ)
・配管が貫通する隙間をモルタル等の不燃材料で埋め戻す。
ロ)貫通する配管(難燃材or塩ビ)の外径を規定未満(建築基準法施行令129条2の4第1項第七号ロ)
ハ)性能規定
・耐火性能:1時間
・要求性能:遮炎性
・証明方法:(一財)日本消防設備安全センターの性能評定書
 
●令8区画
・1つの建築物内で複数の防火対象を定める場合に必要な区画
〇主な対象
・マンションと店舗もしくは駐車場との境界
〇区画貫通部の規定(平成7年消防庁予防課長通知53号)
・原則として給排水管以外の貫通は認められておらず、電気配線や樹脂製電線管等を敷設する場合は、令8区画ではない、外壁や地下ピット等を貫通させて導入する。
ハ)性能規定
・耐火性能:2時間
・要求性能:遮炎性、遮煙性、遮熱性
・証明方法:(一財)日本消防設備安全センターの性能評定書
 
(2)貫通処理が必要な箇所
 
●建築基準法による措置の検討が必要な箇所
・特定共同住宅の敷地内に受電設備があり、地下ピットを通じて各EPSへ幹線ケ-ブルが敷設されている場合のEPSへ入る部分
・住戸等にあるMBの上下部分にあるMBとの間の部分
・EPSやMBと廊下等の共用部分との間の部分
・上下を含む隣り合った位置関係にある住戸等間の外壁に0.5m以上の「ひさし等」がある場合の外壁貫通部
 
●消防法の告示性能評価を要する箇所
・特定共同住宅とされる建築物の部分に受電室があり、そこから各EPSへ幹線ケ-ブルが入る部分
・耐火構造の壁で囲まれている竪穴区画であるEPSから、住戸等に入る部分
・MBから住戸等内へ入る部分
・廊下等の共用部分と住戸等との間の部分
・住戸等と住戸等との間の部分
・EPSやMBを介さずに上下の住戸等間に敷設される排水管の床貫通部分
・上下を含む隣り合った位置関係にある住戸等間の外壁に0.5m以上の「ひさし等」がない場合の外壁貫通部
 
(3)防火区画を貫通する管仕様の概要
 
イ)不燃材料(建築基準法施行令129条の2の4第1第7号)
・貫通部分および両側1メートル以内を不燃材料とすること
※これを遵守すれば、そこから先の配管には不燃材料以外の材料を使うことができる。
〇管:鉄管(鋼管)
〇充填剤:隙間をモルタル等の不燃材料で埋め戻す。
〇全ての躯体に適用可能
 
ロ)一定の外径未満の難燃材料や塩ビ製の管(平成12年建設省告示1422号)
〇管:VP管
・排水管と通気管の場合は、厚さ0.5mm以上の鉄板で覆えば、覆いのない場合より太い管を使用することができる。
〇充填剤:隙間をモルタル等の不燃材料で埋め戻す。
〇すべての躯体に適用可能
〇口径と肉厚
・口径については小さい方が有利であるため指定寸法以下を認め、肉厚については厚い方が有利であるため指定寸法以上を認める基準となっている。
・日本建築行政会議が示している「建築設備設計・施工上の運用指針」においては、本告示の表の外径未満のVP管について、表中の肉厚に満たなくても同一の性能を有しているものとして取り扱うこととしている。(口径が決まれば肉厚は一意に定まり、口径が小さくなるほど肉厚も薄くなる傾向にあるが、口径が小さい方が有利側に働くとの経験則を基に定められた)
 
ハ)大臣認定
〇管:任意(例:耐火二層管)
〇充填剤:任意
・不燃材以外の充てん材(加熱膨張材が大半)は特殊性が高い。
〇適用躯体
・中空躯体の場合は、大臣認定工法が適用出来る躯体の仕様に制限がある。
 
(4)大臣認定の主な工法の種類
 
●加熱膨張材を用いる方法
〇熱膨張シート巻き工法
・配管に熱膨張シートを巻き付け、防火区画壁(床)と熱膨張シートの隙間にモルタル等を充填する。
例)フィブロック、耐火テープ、防火キット
〇熱膨張材を内蔵する排水用鋳鉄製継手による工法
・防火区画床を貫通する排水管の床部分に熱膨張材を内蔵する排水用鋳鉄製継手を設置し、隙間にモルタル等を充填する
〇タイカブラック パテエース
・300℃以上の熱を受けると4倍以上に膨らみ、延焼を防止する充填剤。
・貫通部の埋め戻しにモルタルを使用する必要がない。
 
●管自体に耐火性を持たせる方法
〇耐火二層管(繊維混入セメントモルタル被覆合成樹脂管)
・埋戻し材:セメントモルタル、ロックウール
●耐火仕切板と耐熱性シール(パテ)
●耐熱性シール(パテ)
●被覆材とシールを用いる方法
●縁切材による縁切り対策
・鋼管+保温筒+充填材
〇保温筒
・ロックウール保温筒
・ケイカル保温筒
〇充填材
・住宅用ロックウール
・アルカリアースシリケートウール(AES)
〇形状
・突出型(躯体表面から200mm程度突出)
・リブ型(躯体表面と面一)

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