火災の拡大を防止する規定(内装制限、防火区画等)

〇建築基準法:26,30条、建築基準法施行令:112~114、129条の2の4条
〇過去問
・管理業務主任者 2004問18
・マンション管理士 2003問20、2008問21、2012問20、2017問21、2019問21
 
 
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防火区画
1)概要
 
・建築物内に発生した火災を一定領域内に封じ込めることにより、火災による被害を最小限にとどめるとともに、避難を円滑に行うためのもの。
・主に、大規模建築物の内部で用いられる。
 
〇性能
・この区画は、法で定められた一定の時間(例えば30分や1時間)は火炎に耐えることが要求され、中にいる人々が避難するのに必要な時間だけ火炎に耐えるようになっている。
 
〇構造
・壁・床による区画が基本。
・開口部には防火設備(防火シャッター・防火扉)を設け、火炎の煙や熱を感知した場合に自動閉鎖するものとする。
・防火区画は、それ自体が準耐火構造or耐火構造であると同時に、開口部や配管の貫通部に火炎の貫通を防ぐ処理をしなければならない。
 例えば空調用のダクトにはファイアダンパと呼ばれる火炎防止装置が備えられるし、扉や窓は特定防火設備でなければならない。
 
2)種類
 
①面積区画
・大規模な建築物内の主として水平方向の火災拡大を防止し、火災の規模を限定することを目的として、一定面積ごとに区画
・一定面積ごとに区画するため、このように呼ばれる。
〇条件
・一定以上の床面積
〇区画の形成
・一定面積ごと(500、1,000、1,500m2)に区画
例)耐火建築物:1500m2、1時間準耐火構造:1,000m2、準耐火建築物:500m2
 
②高層区画
・11階以上の構想建築物は、一般のはしご車は届かず、外部からの救助が期待できないため、防火区画を小区画とすることにより、被害を最小限にとどめるもの。
〇条件
・11階以上の階
〇区画の形成
・一定面積ごと(100、200、500㎡)に区画
例)内装が不燃材料:500m2、内装が準不燃材料:200m2、それ以外:100m2
 
③竪穴区画
・災害時の煙突効果による火煙の広がりを防止するもの。
※煙突効果:階段や吹き抜け、エレベータのシャフト、パイプシャフトのように縦方向に抜けた部分は、煙突効果によって有害な煙や火炎の熱を容易に上階に伝えてしまう。
・竪穴部分と他の部分とを遮煙性のある区画とする必要がある。
・竪穴区画によって、竪穴となる部分は全て防火区画によって囲われ、他の部分からの火炎から守られる。
〇条件
・吹抜き等
〇区画の形成
・吹抜き等を区画
 
④異種用途区画
・建築物は、その用途によって、空間形態等が異なり、火災拡大の性状、煙の伝搬、避難方法等が異なるため、異種用途の部分の間を防火設備で区画
・同じ建物の中に異なる用途が混在し、それぞれの管理形態が異なる場合(例えば複数のテナントが入るデパートなど)、火災発生の条件がそれぞれ異なるほか、発生に気づきにくい。このため、用途の異なる部分を区画することで被害の拡大を食い止めるものである。
〇条件
・複数の用途
〇区画の形成
・用途の境界部分で区画
 
3)防火区画に設ける防火設備
※防火区画に用いる防火設備等の構造方法を定める件(建設省告示第2563号昭和48年12月28日、平成13年改正)
 
・各住戸の玄関のように、防火区画に設けられる特定防火設備は、面積を3m2以内とし、出入りの度に直接手で開き、自動的に締まり、普段は常時閉鎖されていることが求められる。
・自動的に玄関扉を閉鎖される装置として、ドアクローザーを設ける。
 
4)外壁の開口部間の延焼防止(令112条16項)
 
①開口部の周囲を幅90㎝以上、準耐火構造の壁とする。
②防火区画である壁、床から、準耐火構造のひさし、床、そで壁の類を突出させて、防火上有効に遮る。
 
5)防火区画を貫通する配管等(令112条20、21項)
 
・給排水管、配電管等が、防火区画である床や壁を貫通する場合は、これらの管やダクトと防火区画の間との隙間をモルタルその他の不燃材料で埋めなければならない。
・換気、冷暖房の設備のダクトが防火区画を貫通する場合、原則として、防火区画を貫通する部分や近くに、火災による煙や急激な温度の上昇の際に自動閉鎖・自動作動する特定防火設備(防火ダンバー)を設ける。
・上記の管やダクトは、防火区画からそれぞれ両端に1m以内の距離にある部分を不燃材料で作るか、防火上必要な措置を講ずることとされている。
 
●給水管、配電管等の貫通
・隙間をモルタルその他の不燃材料で埋めなければならない。
※給水管、配電管その他の管の貫通する部分及び当該貫通する部分からそれぞれ両側に1m以内の距離にある部分を不燃材料で造る(令129条の2の4)
防火壁、防火床(法26条)
・延べ面積が1,000㎡を超える建築物は、防火上有効な防火壁or防火床で、床面積を1,000㎡以内ごとに有効に区画しなければならない。
 
〇対象外
・耐火建築物or準耐火建築物
・一定の条件を満たす卸売市場の上家など。
 
〇対象の建築物
・用途等は関係なく、面積で判断。
・耐火・準耐火建築物は対象外なので、大半が木造建築物。
界壁・間仕切壁・隔壁(令114条)
●天井裏を介した延焼を防ぐための規制
・小屋組(屋根を支えるための骨組みとなる屋根構造)が火災時に燃焼することにより、小屋組を燃焼経路として火災が早期に拡大するのをふせぐための規制
 
●界壁(法30条)
〇界壁とは
・各戸の境界の壁
〇対象
・長屋、共同住宅
〇規制内容
・各戸の界壁を”準耐火構造”とし、小屋裏又は天井裏に達するようにする。
・ただし、基準に適合した天井を設ける場合は、界壁は天井までとすることができる。
 
●隔壁
〇隔壁とは
・空間を仕切る壁
〇対象
・建築面積が300m2超の小屋組が木造の場合
〇規制内容
・桁行き間隔12mごとに小屋裏に準耐火構造の隔壁を設ける。
〇対象外
・主要構造部が耐火構造の場合
・各室、各通路の壁、天井の仕上げが難燃材料で造られ、又は、自動式の消火設備、排煙設備が設けられている。

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