給排水管改修工事の概要

マンション給排水管改修の概要をまとめました。  
※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
給水・給湯管の劣化
給排水管の調査・診断
給排水管の延命工法、延命装置
●給水配管の延命工法
 
・エポキシ樹脂ライニング工法、カルシウム工法、脱気工法、電子防錆工法等があり、選定にあたっては除錆、防錆、赤水対及び保証年数、保証範囲、コスト等を検討する必要がある。
 
・磁気処理、セラミック、脱気処理、電気式処理、添加剤処理などの化学的な工法を用いて配管を延命する方法もある。
 
●給水管洗浄工法
 
・圧縮空気を混入した水を利用し給水・給湯管内を洗浄し、管内の付着物等を除去。
・オゾン洗浄水、クエン酸水を利用した方式もある。
 
●排水管高圧洗浄工法
 
・高圧洗浄車内のポンプで加圧した水を噴射ノズルで逆噴射させ、その衝撃力により管内付着物を剥離する。
 
○ラップ洗浄工法
・専有部排水トラップよりノズルを入れ、排水立て管2~3下の階まで洗浄。
・配管洗浄手順
①建物横主管の洗浄
②1階合流本管の洗浄
③1階室内枝管の洗浄(ラップ洗浄)
④2~8階までの室内枝管・立て管の洗浄
⑤建物横主管洗浄(ラップ洗浄)
⑥9~16階までの室内枝管・立て管の洗浄
⑦建物横主管洗浄(ラップ洗浄)
⑧合流本管の洗浄、埋設管・桝洗浄
給水方式の変更
(1)給水システムの変遷
 
①1960年(昭和35年)~
・郊外団地型:高架水槽棟
・1棟型:高置水槽
 
②1970年(昭和45年)~
・従来の高置水槽方式のほかに加圧給水方式(圧送方式)が普及してくるが、小規模のマンションでは圧力タンク方式が主流、一部団地型マンションではポンプ圧送方式も採用され始めた。
 
③1980年(昭和55年)~
・80年代に入り圧送ポンプが本格的に採用されはじめる。
 可変運転が可能なポンプ圧で直接給水する方式。
 
④1990年(平成2年)~
・98年頃より直結増圧方式が出始める。
・90年代に入り、住戸内配管に”さや管ヘッダー工法”を水廻りに採り入れらるようになった。
 
(2)給水システムの変更
 
・高経年マンションでは、高置水槽給水方式が一般的だが、受水槽・高置水槽の劣化を契機に、給水システムを受水槽・高置水槽を必要としない水道本管直結給水方式や直結増圧給水方式に変更することが考えられる。
※受水槽は非常時の防災用水槽に転用することもある。
・高置水槽を必要としない加圧給水(ポンプ圧送)方式への変更も考えられる。
・高層マンションでは、上階において水圧や水量の不足が生じることがあるため、増圧改修を行うことが考えられる。高置水槽方式の場合、上階部分を別系統としてブースターポンプ等により増圧する。既存配管が十分に増圧に耐え得るものであること、パイプスペース、屋上回りに配管の盛り替えを行うスペースがあることが施工条件となる。
 
●主な給水方式の比較
 
①直結給水方式
・道路内の水道本管から水道管の水圧により直接供給する方式。
・低層マンションでは利用できる。
〇メリット
・受水槽・高置水槽等が不要で清掃・点検及び維持管理費用がかからない。
・スペースを有効利用できる。
・直接的に新鮮な水が供給される。
・停電時でも断水にならない。
〇デメリット
・高台で圧力が低いところや夏季の使用水量が多い時期は水圧低下が起こる場合がある。
・水道本管断水時には供給ができない。
 
②直結増圧給水方式
・増圧給水ポンプにより水道管の水圧に加圧し、水道本管から直接供給する方式。
・1日最大使用水量が50m3以下で10階程度までであればマンションでも利用できる。
〇メリット
・受水槽・高置水槽等が不要で清掃・点検及び維持管理費用がかからない。
・スペースを有効利用できる。
・直接的に新鮮な水が供給される
〇デメリット
・増圧給水ポンプの清掃・点検及び維持管理費用が必要。
・停電時には上層階で断水が生じる。
 
③高置水槽給水方式
・水道本管からの水をいったん受水槽に貯めポンプにより高置水槽に送り揚げた上で各戸に給水する方式。
〇メリット
・停電になった場合でも、高置水槽に貯められた水を利用することができる。
〇デメリット
・受水槽・高置水槽等の清掃・点検及び維持管理が必要
・受水槽・高置水槽等の設置スペースが必要。
 
④加圧給水方式
・水道本管からの水をいったん受水槽に貯め、高置水槽を設ける代わりに加圧ポンプにより圧送給水する方式。
〇メリット
・災害時等に断水になった場合でも受水槽に貯められた水を利用することができる。
・高置水槽が不要であり、外観・美観上よく、積載荷重の軽減を図ることができる。
〇デメリット
・受水槽の清掃・点検及び維持管理が必要
・停電時にはポンプ等が停止するため給水できない。
 
(3)給水給湯配管の配管システム
 
1)先分岐方式
 
・水道メータや給湯機等の上流側から下流側に向けて、太い配管から各水栓ごとに配管を細い配管に分岐させていく。
〇使用管種
・銅管、ステンレス鋼管、ライニング鋼管、、塩ビ管
〇管径決定
・先分岐のため、配管各区間毎の設計が必要であり、金属管の場合は流速の制約がある。
・流速が小さいため、必要に応じて空気溜まり対策を考慮する。
〇配管経路、施工性
・他配管や構造物との取合いや曲がり部・接合部に制約が多い。
・継手接合部が多く、熟練した接合技術を必要とするものが多い。
〇補修・更新性
・隠蔽部での接合が多く、腐食や接合不良等による漏水等のトラブル発生要因が多い。
・隠蔽部でのトラブル発生時の処置も煩雑になる(床や内装等の解体・復旧工事、トラブル発生箇所、原因の調査・特定)。
〇施工費
・使用管種、設計条件にもよるが、さや管ヘッダー式配管工法に比べて施工費用は安い。
〇湯待ち時間
・使用関連系統の管路の保有水量が多く湯待ち時間が長くなりやすい。
〇同時使用の湯量安定性
・管径を大きめにしておかないと他水栓の影響を受けやすい。
〇熱伸縮対策
・給湯配管では、配管条件(直線配管長さ、曲がり部や接合部などの固定状態等)により熱伸縮対策が必要。
 
2)さや管ヘッダー方式
 
・ヘッダーを住戸内に設置して、そのヘッダーから管をたこ足状に分岐して、各給水・給湯栓ごとにそれぞれ単独で接続する方式。
・接続部がヘッダーと給水栓など末端器具との接続部分だけであり、その間は接続部がないため隠蔽部での漏水の危険性が少ない。
〇ヘッダーの設置位置
・通常は、床面より高い位置で、日常の点検や接続部からの漏水などの異常発生時の発見が容易にできるような場所に設置するのが良い。
〇使用管種
・架橋ポリエチレン管、ポリブテン管
〇管径決定
・単独系統の為、設計が簡略で、流速も比較的大きく取れ、管径も小さくできる。
・流速が大きく取れるため、通常は空気溜まり対策は不要。
〇配管経路、施工性
・長尺のフレキ管のため配管経路の設定は自由度が大きい。
・接合部はヘッダー部と水栓部だけであり、現場施工は容易。但し、融着接合は施工管理を十分に行う必要がある。
〇補修・更新性
・隠蔽部での接合がないため、トラブル発生の要因は少ない。
・トラブル発生時や配管更新の場合も、床や内装に関係なく配管替えが容易にできる。
〇施工費
・先分岐方式に比べて施工費は高い。
〇湯待ち時間
・小径管の単独系統のため管路の保有水量が少なく湯待ち時間が短い。
〇同時使用の湯量安定性
・単独系統の為、湯量は安定して得られる。
〇熱伸縮対策
・通常は特別な熱伸縮対策は不要。
 
3)ループ方式
 
・給湯器具や給湯栓を、直列に連結しあい、配管全体をループ状にする配管方式。
・温水暖房配管等では一般的に用いられるが、住戸内給湯配管での採用例は少ない。
改良工事
(1)洗濯機置場(防水パン)を住戸内に設置
 
●高経年マンション
・住戸面積が狭く、住戸内に洗濯機置場(防水パン)が設けられていないものもある。
→バルコニーに洗濯機を置き排水を雨水とともに流したり、浴室周辺に洗濯機を置き浴室に排水したりし、それが原因で漏水事故が生じているケースがある。
・洗濯機排水は合流処理地域でも雨水立て樋に流すことは適切ではない。
 
●改良工事
・上記ような場合、生活を便利にするために、住戸内の洗面脱衣所に洗濯機用防水パンを設置することが考えられる。
・近ごろでは、FRP(ファイバー繊維強化プラスティック)製で、飛び水・こぼれ水を効果的に排水するタイプのものや、階下への排水音を防止する構造のタイプのものもある。
 
●注意点
・設置にあたっては、排水管の排水能力(サイズ)に余裕があることや、排水立て管までの横引き管の距離が短くなる位置に防水パンを設置できることなどが条件となる。
・洗濯機置場(防水パン)の設置工事は、専有部分の工事となり、原則として各住戸の費用負担となる。
・排水設備工事は、住戸内への立入り作業が必要となり、居住者の在宅も必要となる。また、工事期間中は同一系統での水の使用ができなくなる。
 
(2)リノベーション時の考慮点
 
●UR都市機構におけるKSI(機構型スケルトン・インフィル住宅)
・排水立管を住戸外に設置することにより、メンテナンス性や更新の容易性を実現し、排水ヘッダーを採用することで排水管の勾配を1/50から1/100へ緩和し、住戸内の間取りの自由度を確保している。
 併せて共用部からの排水横枝管の清掃を可能としている。
 
●長期優良住宅、専用部に設置できるパイプスペース
・長期優良住宅の認定基準においては、共用配管の共用部設置について、但し書きの規定が設けられている。
→不在居住者等による影響および居住者の負担の観点から、維持管理の円滑な実施のために必要な措置が講じられている場合にあっては、維持管理対策等級(共用配管)の等級3および更新対策等級(共用配管)の等級2、3で求められている専用部分に立ち入らないで維持管理・更新ができる措置と代替性があるものとして、当該既定の適用が除外された。
〇代替措置
・以下に示す措置がなされているパイプスペースであれば代替性があるとみなされる。
ⅰ)管理者等の立入りを認める居住者の協力義務が管理規約で定められていること。
ⅱ)パイプスペースは以下の要件を満たすこと。
・間仕切り等で独立した区画となっていること。
・維持管理に際し、構造躯体に支障を及ぼさない場所に設置すること。
・配管のオフセット(排水管を水平に迂回させること)の原因となる横梁等をパイプシャフト内に配置しない等、パイプシャフトの形状に留意すること。
・少なくとも一つの面が維持管理・更新の作業が容易にできるスペースに面すること。
・作業が容易にできるスペースに維持管理を行うための点検口が露出していること。
・躯体に影響を及ぼすことなく更新を行える開口が確保できる面を有すること。
ⅲ)パイプスペースを竪穴で区画せず、床面で防火区画を確保する場合には、配管の区画貫通部または間の構造において、更新の処理を軽減する措置を行うこと。
ⅳ)その他は更新対策等級3を満たすこと。
給排水管改修工事の注意点
(1)専有部の排水におけるジャバラホース
 
1)ジャバラホースが使用される理由
 
〇ジャバラホースの構造とは
・コイル状の鋼線を塩ビで被覆した物で主に簡易な排水管として使われる。
・コイル状なので自在に曲げることができ、排水の位置がずれていても簡単につなぐことができる。
〇使用される個所箇所
・システムキッチンやユニットバス、洗面化粧台、洗濯機パンなど。
・設備機器の附属品としてつけられている。
 
2)ジャバラホースを使用した場合の問題点
 
〇隙間から臭い、虫
・排水配管とホースの間に隙間ができやすく匂いが上がる原因になる。
・排水ジャバラと排水管へつながる管との隙間から、ゴキブリなどの虫が入り込んでくる。
 
〇汚れがつきやすい
・内面がジャバラで凹凸があるため、油汚れなどがつきやすく、ごみなどが引っかかりやすくなり、詰まりの原因になる
 
〇経年劣化しやすい
・経年劣化で縮んでしまい隙間塞ぎのゴムなどが外れやすい。
・被覆が薄く、高熱に弱いため、キッチンの排水に頻繁にお湯を流していると、劣化が早くなり、穴があいてしまうこともある。
・柔らかい樹脂の素材なのでネズミに齧られて漏水した例もある。
 
〇漏水リスク
・隙間塞ぎが外れた状態で排水管が詰まりを生じた場合など排水管とジャバラホースの間から水が漏れ下の階に漏水などの被害が生じる可能性がある。
・何かの理由で排水管が詰まってしまったとき、シンクから流した水は排水ジャバラが突っ込んである塩ビ管からあふれ出してしまう。
 
〇排水管の高圧洗浄
・ジャバラホースは耐えきれない。
・ジャバラ接続になっているとシンク下のキャビネットが水浸しになってしまう
 
3)推奨の接続方法
 
・排水管との接続はジャバラホースではなく塩ビ管などの配管を使うようにし、排水ロから床下の排水管まで、密閉した排水管で直接つなげる
・塩ビ管の内部は平滑なので汚れなどの付着が少ない。
排水リフォームキット
 
※公共工事の機械設備標準
・洗面器の排水トラップとビニル管の接続は、専用の排水アダプタとビニル管を接着接合し、パッキンをはさみ込み、袋ナットを用いて固定する。
 
(2)在来浴室、スラブ下排水管の改修
 
●在来浴室
・昭和40年代~50年代に建設されたマンションに採用され、昭和50年代前半の主流。
・間仕切壁はコンクリートかコンクリートブロックで、床はアスファルト防水の上シンダーコンクリート押えモザイクタイル張り、壁は半磁器タイル張り。
〇ハーフユニットの浴室
・床面のみがFRPなどのプラスチックパネルでできた浴室。
 
〇排水口まわりの構造
タイル         排水口    タイル
押えモルタル      排水口    押えモルタル
アスファルト防水層   排水口    アスファルト防水層
排水トラップの受け皿  受け皿    排水トラップの受け皿
コンクリートスラブ+ 排水トラップ  コンクリートスラブ+
埋め戻しモルタル  排水管とねじ接合 埋め戻しモルタル
          下階スラブ下横引き管
・新築工事時、コンクリートスラブはあらかじめ一回り大きい穴を開けて打設される。
→排水トラップを上記穴の中に入れて排水管を接続する。
→排水トラップのまわりの隙間は埋め戻しモルタルで埋められる。
→防水層は、排水トラップに付いている”受け皿”の部分に施される。
→防水層の上には水が降りてくるので、この受け皿には小さな穴が開いていてい水がトラップ内に流れるようになっている。
→上記受け皿と排水トラップは同一の製品であり一体となっているので、排水トラップを交換しようとすると、防水層もくっついてきてしまい、防水機能が切れてしまう。
 
●排水管改修時の問題点
・浴室の排水は、床スラブに排水用椀型トラップ(防水層用ツバ付き)を打込み、これに下階天井裏の横引排水管を接続して排水している。
※排水金物(排水口や排水トラップ)と排水管の接続部分がコンクリート床に埋まってしまっている。
・排水管改修の際には椀トラップも同時に取り替えたいが、それには浴室の床を壊し、アスファルト防水を一部剥がさなければならない。
 しかし、その部分の防水を完全に修理するのは難しく、漏水の心配があるので、トラップはそのままとなってしまっている。
・排水管の改修工事時に、この浴室排水金物までまで更新しようとすると、床タイルや防水層など、浴室のほかの部分の改修が道連れ敵に付いてきてしまい、工事が大掛かりになってしまう。
→浴室全体のリフォームが必要。
 
●ユニットバスへのリフォーム時の問題点
・タイル張り浴室の中にユニットバスを置く、形のリフォーム
→排水金物やコンクリート床に埋まっている立下り排水管などは改修されないまま、その上に新しいユニットバスが置かれてしまう。
→老朽化した排水金物がユニットバス下に封印されてしまい、維持管理ができなくなる。
・リフォームされたユニットバスからの排水管が、老朽化した古い排水口に放流する形になっている場合がある。
→古い排水金物を撤去し、下階天井裏の排水管と実管で確実に接続する工事は、下階に入室させてもらってその天井裏を解体しないとできない。
 古い排水金物は、防水層と同時でないと取替ができない。
 
●既存がハーフユニットの場合の事例
・在来浴室のような防水層はもともとなく、FRP製のユニットバスの床下はすぐにコンクリートスラブであった。
→ユニットバスからの排水は、在来浴室の場合と同じように、古い排水金物内の”わん”を取去って、その中にユニットバスからの排水管を差し込んでモルタルで埋め、コーキングしている、という事例があった。

コメントを残す

Your email address will not be published.

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください