ワンルームマンションの修繕積立金、築30年でも5,000円程度?

ワンルームマンションの修繕積立金というと売りやすくするために1,000~2,000円程度に低く抑えられていますが、いずれ値上げされる可能性が高いということはよく知られていると思います。それでは、どのくらいまで値上げされるのでしょうか?
 
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当サイトの独自調査
中古マンション購入サイトで公開されている東京23区内のワンルームマンションの物件情報を収集し、修繕積立金がいくらぐらいなのか調べてみました。(東京23区ワンルームマンションの修繕積立金調査
 
●築年数による違い
 
全体の平均を見ると、下記集計結果となりました。
 
築10年未満 m2あたり約120円
築20年未満 m2あたり約200円
築30年未満 m2あたり約240円
築40年未満 m2あたり約240円
築40年以上 m2あたり約240円
 
20m2のワンルームマンションだと築20年以上でも5,000円程度となっています。
 
築10年未満から20年未満では約2倍に上がっていますが、築20年以上になるとm2あたり約240円のままで築年数が経つほど上昇し続けているわけではないようです。
 
もちろん実際は上げる必要があるのに組合員の反対で上げることが出来なかったり、一時金を徴収して対応しているかもしれないので、本当にこの額だけで十分かどうかは分かりません。
 
ただ、国土交通省が出している修繕積立金のガイドライン(マンションの修繕積立金に関するガイドライン(PDF))にある目安も平均でm2あたり220円ぐらいなので、このぐらいで済むのかもしれないですね。
 
仮に新築時の2,000円から5,000円にアップしたとしても3,000円のアップなので、賃料の下落リスクに比べればそれほど大きなリスクではないようですね。
 
 
●戸数による違い
 
全体の平均を見ると、下記集計結果となりました。
 
~25戸  m2あたり約230円
26~50戸 m2あたり約190円
51~75戸 m2あたり約180円
76~100戸 m2あたり約170円
101戸以上 m2あたり約170円
 
やはり戸数が少ないと高くなりますね。ただ、管理費の場合もそうでしたが50戸以上になると戸数による額の違いは少なくなっていますね。
 
 
●建物管理会社による違い
 
修繕積立金が安いと知られているB社、管理が良いが管理費・修繕積立金も高いと知られているD社については、評判どおりの集計結果となっています。
 
B社については、いずれの時期においても全体平均の半額くらいになっています。外観はともなく機能的には不都合がないように修繕工事は行われていると思いますが、賃料にどれだけ影響しているかが気になるところですね。
 各マンションブランド毎の賃料相場の比較をしてみるのも良いかもしれません。
 
D社については、予想通り高くなっていますが、築20年から築30年以上になっても上昇し続けているのが気になりますね。
 
A、C社は、新築投資用マンション販売の大手グループですが、B社とD社の間ですが、全体平均よりはかなり低くなっていますね。
 
 
●デベロッパー系と独立系の管理会社との比較
 
独立系のほうが低い額だと思っていたのですが、今回調査したデベロッパー系の会社との比較では、D社を除くとデベロッパー系の方が低くなっています。
 
C社は安いことで有名なので調査に加えましたが、B、C社については私がお付き合いのある会社である事と中古購入サイトに掲載されている物件数が多かったため選びました。全体平均と比べてもかなり低くなっていることから良心的な額を設定している会社なのかもしれないですね。
 
独立系は、全体平均と比べても同程度ですね。工事の質にもよるので一概に額だけで良し悪しは言うことは出来ませんが、修繕積立金の額が他と比べて大幅に低くなっているわけではないようですね。

国土交通省の修繕積立金ガイドライン
国土交通省がマンションの修繕積立金に関するガイドラインを出しています。
マンションの修繕積立金に関するガイドライン(PDF)
 
修繕積立金の額の目安を知る上で参考になりますが、このガイドラインを利用する上でいくつか注意点があります。算出方法の概要や利用時の注意点についてまとめました。
 
●”修繕積立金の額の目安”の算出方法
 
いろいろ前提条件がありますが、下記に注意する必要がありそうです。
 
・区分所有者が自ら居住する住居専用型の単棟型のマンションが主な対象。
→投資用のマンションは主な対象となっていないので、投資用マンションと比較する際は注意が必要かもしれません。
 
・新築時から30年間に必要な修繕工事費の総額を当該期間で均等に積み立てる方式(均等積立方式)による月額
→既存のマンションの修繕積立金は、新築時から徐々に値上げされているうえでの月額なので、単純に比較はできないことになりますね。
 
・機械式駐車場がある場合は、多額な費用ががかかるため別途加算して目安を算出。
→投資用マンションでも大規模だと機械式駐車場があり別途加算必要がありそうですね。
 
●修繕金の額の目安
 
・200円/m2・月前後
 
・超高層マンション(20階以上)は、外壁などの修繕時に特殊な足場が必要になったり、共用部分の占める割合が高くなるなどで修繕工事費が高くなる傾向あり。
 
●機械式駐車場の修繕工事費
 
・1台あたりの修繕工事費
方式によって、1台当りの月額が6,000円~14,000円
→東京23区の場合は1台あたりの利用料はこの額より高くなるかと思いますので、契約台数が大幅に少なくならない限りはプラスになりそうですね。
 
・1台当りの月額が8,000円で台数が12台の場合
8,000円×12台=96,000円
 
同一専有面積で150戸ある場合は、
 96,000/150=640円
 
●修繕金の積立方式
 
①均等積立方式
 
・長期修繕計画で計画された修繕工事費の累計額を、計画期間中均等に積み立てる。
・初期段階では使用額より積立額の方が大幅に大きくなるため多額の資金を管理する状況が発生する。
 
②段階増額積立方式
 
・当初の積立額を抑え段階的に積立額を値上げする。
・新築マンションの場合は、段階増額積立方式を採用している場合がほとんど。
・分譲時に修繕積立基金を徴収している場合も多い。
・多額の資金の管理の必要性が均等積立方式と比べて低い。
・修繕積立金増額の際に総会決議が必要。
 
③大規模修繕時に一時金を徴収する方式
 
④金融機関からの借入を前提とした積立方式
 
●大規模修繕工事の変動要因
 
①立地、形状、規模の影響
 
・建物が階段状など複雑、超高層マンションでは高い傾向。
仮設足場やゴンドラの設置費用、施工期間が長引くため。

・大規模マンションは、工事量が大きくまとまるため施工性が向上し、単価が安くなる傾向。
 
・屋外部分が広いと給排水管が長くなったり、アスファルト舗装や街路灯も増えるため高くなる傾向。
 
・海岸に近い(塩害)、寒冷地のマンションが劣化が進みやすく高くなる傾向。
 
②仕上げ材や設備の仕様
 
・高級な材料を使用していると高い傾向
 
・手すりの材質が錆びにくいアルミ、ステンレス製の場合は少なくて済む傾向。
 
・給排水管の材質が腐食しにくいステンレス、プラスチック製であると配管や継手部分の更生工事(洗浄・研磨・コーティング)が必要なくなり更新(取替え)工事の時期も遅らせる事が出来、軽減できる傾向。
 
③区分所有者の要望による機能アップ
 
・ディスポーザー設備やセキュリティ設備を追加すると当然高くなる。
 
④法制度の改正による追加工事
 
・消防法、エレベータの安全基準、耐震性、バリアフリーなど今後影響が出てくるかもしれない。

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