耐火建築物等としなければならない建築物

〇建築基準法:21,25,27条
〇過去問
・管理業務主任者 
・マンション管理士 2007問21
 
 
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概要
建築物の高さ、用途、立地に応じて、耐火建築物等としなければならない建築物の対象が決められている。
 
●用途:特殊建築物(法27条)
〇規制の対象
・共同住宅等の多数の者が利用する建築物(3階以上)
〇構造基準
・耐火構造 又は
・避難時間に応じた準耐火構造(木造も可)
 
●高さ:大規模木造建築物等(法21条)
〇規制の対象
・4階以上、高さ16m超
〇構造基準
・耐火構造 又は
・消火時間に応じた準耐火構造(木造も可)
 
●立地:防火地域、準防火地域(法61条)
〇規制の対象
・防火地域:3階以上or100m2超
・準防火地域:4階以上or1,500m2超
〇構造基準
・耐火構造 又は
・市街地火災拡大防止に対する準耐火構造:延焼防止建築物(木造も可)
特殊建築物(法27条)
1)在館者の避難安全の確保、主要構造部の制限(用途に応じた規制)
 
・建築物の用途・階数・面積に応じ、耐火建築物or準耐火建築物とすることを規定。
・建築物の用途上の特殊性(建築物の利用上の特性や在館者の特性など、避難困難性に関わるもの)に応じ、当該用途にする部分の階数及び床面積に応じ、その主要構造部に一定の性能(非損傷性・遮熱性・遮炎性)を要求。
・H26改正により、”避難時間”に応じて主要構造部の性能を決定することを明確化。
※従来は建築物の用途・階数・面積等によって、耐火建築物or準耐火建築物としなければならないと一律に規定されていた
→特殊建築物の在館者の全てがその建築物から地上までの避難を終了するまでの間、火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するという主要構造部に求める性能(特定避難時間)を明確化し、性能規定化
→従来は”耐火建築物”としなければならなかったものが、条件を満たせば、避難時間に応じた準耐火構造(在館者の避難が確保される観点から、避難中は倒壊しない性能を要求)も可となり、木造も可能となった。
 
2)避難時間に応じた準耐火構造の建築物とは?
 
・通常の火災が発生した際に、建物内にいるすべての人々が、地上までの避難が終了するまでの間、建築物の倒壊および延焼を防止する構造で、”特定避難時間”に応じた性能を持つもの。
 
〇”特定避難時間”
特殊建築物の構造、建築設備及び用途に応じて当該特殊建築物に存する者の全てが当該特殊建築物から地上までの避難を終了するまでに要する時間
 
〇主要構造部の性能
・特定避難時間、構造耐力上支障のある変形・溶融・破壊などの損傷を生じない。
 
〇壁や床、屋根の軒裏
・特定避難時間、加熱面以外の屋内の面の温度が、可燃物燃焼温度以上に上昇しない。
 
〇外壁や屋根
・屋内に発生する火災において、特定避難時間、屋外に火炎を出す原因となる亀裂その他の損傷を生じない。
 
〇延焼するおそれがある外壁の開口部
・防火戸やドレンチャーなどの防火設備を設ける。
・在館者の避難安全の確保という観点から、火災による火熱が加えられた場合に、屋内への遮炎性能を求めるようになった(片面20分の防火設備)。
※耐火建築物は両面遮炎
 
3)耐火建築物等としなければならない建築物
 
以下に記載の対象建築物は、”耐火建築物”、又は、特定避難時間を考慮した”認定による建築物”としなければならない。
 
●主な対象
・不特定多数が利用する用途(病院、物販店舗、ホテル等)や多数が就寝時に利用する用途(病院、ホテル、共同住宅等)を3階以上の階に設置する建築物
・延べ面積3,000㎡以上の物販店舗等
〇例外
・階数が3で延べ面積が200m2未満は除く。
・ただし、就寝利用する用途に供するものは警報設備設けたものに限る。
 
4)耐火建築物or準耐火建築物としなければならない建築物
 
・2階部分が300㎡以上の病院、ホテル、共同住宅等
大規模木造の加害防止【高さ】(法21条)
1)概要
 
・大規模な木造建築物等については、特殊建築物以外の建築物であっても、火災の際の周囲への危険性が大きいことから、一定規模以上の建築物について、”高さor軒高”及び”延べ面積”に応じ、その主要構造部に一定の性能(非損傷性・遮熱性・遮炎性)を要求。
・従来は、原則として主要構造部を耐火構造とすることが求められていたが、区画の形成や消火時間に応じた準耐火構造などによって、一定の条件を満たせば耐火構造等としなくてもよい木造建築物の範囲が広がってきている。
 
●延べ面積3,000m2超:区画形成
・H26改正により、”延べ面積”については、建築物全体の火災拡大を防止するために、各部分の面積が一定以下となるような壁等による区画が形成されていれば耐火構造としなくても良いものとする規定が追加された。
 
●消火時間に応じた準耐火構造
・大規模建築物が倒壊する前に火災終了する観点から、消火までは倒壊しない性能を要求。
 
〇改正前
・中層建築物の壁・柱等について、すべて耐火構造とすることが必要。
・木造の場合、石膏ボード等の防火被覆で耐火構造を実現していた。
・木造であることが分かりにくく、木の良さが実感できないとの指摘があった
 
〇改正後
・主要構造部が、通常の火災が消火の措置により終了するまでの間、当該火災による倒壊及び延焼を防止するために必要な性能を有していればよいこととした。(火災時倒壊防止構造)
・建築物全体の性能を総合的に評価することにより、耐火構造以外を可能に。
→主要構造部が75分間準耐火構造、1時間準耐火構造、外壁・屋根の軒裏を防火構造としたもの。
 
〇”木造建築物等”の定義
・主要構造部(柱、はり、壁)の全部または一部に木材、プラスチックその他の可燃材料を用いたもの。
 
2)延べ面積3,000m超の大規模建築物に対する規制
 
・大規模な木造建築物等は、火災が発生した場合に最終的には大規模な火災となることで周囲への影響が大きいことから、以下のいずれかに適合するものとしなければならない。
 
a)耐火構造
 
b)区画の形成
・3,000m2以内に、通常の火災による延焼を防止するための”壁等”(壁・柱・床・防火戸などの防火設備)を設ける。
 
3)高さor軒高に応じた規制(階数4以上、高さ16m超)
 
・階数が4以上 or 高さ16m超の木造建築物等は、火災により倒壊した場合に周囲への影響が大きいことから、各種制限を設けている。
・通常火災終了時間(建築物の構造、建築設備及び用途に応じて通常の火災が消火の措置により終了するまでに通常要する時間)で評価した技術基準に適合するもので、以下のa~cの構造方法を用いた建築物、又は、認定を受けた建築物としなければならない。
 
a)階数4以下、主要構造部を75分間準耐火構造
 
・区画:床面積の合計200m2以内ごと(自動式スプリンクラー設備などの設置が必要)に区画。
・天井:室内に面する部分の仕上げを準不燃材料
・避難階段:2階以上に居室がある場合は、特別避難階段を設ける。
・敷地内通路:建築物の周辺に3m以上の通路
 
b)階数3以下、主要構造部を60分間準耐火構造
 
・敷地内通路:建築物の周辺に3m以上の通路(200m2以内ごとに区画されている場合などは例外)
 
c)階数2以下:外壁・屋根の軒裏を防火構造
 
・床:火熱を受けても、加熱開始後30分間、変形・溶融・亀裂その他の損傷が生じない。
・内装制限:室内の壁、天井の室内に面する部分の仕上げ:難燃材料
 
〇敷地内に延焼防止上有効な空地がある場合の例外
・建築物が倒壊する恐れのある範囲(建築物の各部分から当該各部分の高さに相当する距離)が敷地境界内の空地であれば、上記a~cの規制は受けない。
 
4)大規模木造建築物等の外壁等(法25条)
 
延べ面積1,000m2超の木造建築物は、以下の構造としなければならない。
・外壁・軒裏で延焼の恐れのあある部分:防火構造
・屋根:不燃化(防火地域・準防火地域の共通基準と同様)
隣棟への延焼防止【立地】(法61・62条)

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